周囲は喧騒に包まマカ サプリ

 周囲は喧騒に包まれていた。まだ日が高い時ゴーヤ刻のため人の往来亜鉛 サプリ おすすめも激しい。故郷の村では決して見ることのできない賑やかで華やかな街の様子をステラは店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手の甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に亜鉛輝くのを見てステラはふふふ、と満足そうに笑う。
「お嬢ちゃん、計算が終わったよ」
 年配の店主がゆっくりと店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもね」
「わぁ!ありがとうございます!」
 なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金マカ サプリの鍵を簡単に見つけられたし、野良精霊を倒すのも手間はかかるがそんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすことができる。
(ミモザは銅だったわね)
 卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしら)
 ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめをクロムの効能受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。確かに同情するには十分かも知れない。
 上機嫌でお金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一日で取ったのかい?」
 店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
 そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
 そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルのアントシアニン言葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理な話なんだ」
 そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎはいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
 ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
 ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
 そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
 怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言の中で川のせせらぎだけが鳴っている。
 振り返らないアベルの背中は震えていた。
亜鉛の効果「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
 アベルはゆっくりと振り返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうことはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
 ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
 ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
 眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
「アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
 本当はわからない。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
 アベdha epa dhaルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかってくれれば!」
 ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
 知られるたびにこうもうるさく言われては面倒だった。

 かたん、と軽い音を立てて扉を開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
 部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
 彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
 彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
 ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
 ステラのことだ。
 姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
 軍警に届け出るというのは選択肢には最初からない。なにせ本人の自白以外に証拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
 しかしミモザはス亜鉛 サプリテラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘っちょろい報復を目論んでいたのだ。
 しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
 例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
 黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。それに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第1の塔の攻略をしてきました」
 結局ミモザは黙ることを選択した。
 しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
 今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
 ステラの行為に目をつむる。
 それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
クロムdha epa亜鉛 サプリ おすすめマカ と は

「ジーンくん、……亜鉛の効果

「ジーンくん、……だったかしら?」
「ええ」
 ステラはジーンの真剣な亜鉛眼差しに苦笑を返す。
「酷い誤解だわ。わたしはただ、こアントシアニンの子を助けたいだけなの」
「そのために、それはいけないことだと諭す自らの妹に手をかけると? ステラさん、貴方は……」
 ジーンは醜いものでも見るように顔を歪めた。
「狂っている」
「酷いわ、ジーンくん」亜鉛の効果
 ステラはその強い言葉に傷ついたように目を伏せる。
「この間会った時は褒めてくれたじゃない。とても可愛いって、綺麗だって」
 思わずミモザが白けた目でジーンを見上げると、彼は誤魔化すようにごほんごほんと大げさに咳をした。
「あ、あの時はそう思ったんです。ですが、貴方の行動は度が過ぎている」
 そう言って強く否定するように首を横に振る。
「物事には限度がある。マカ と は貴方はもう少し自分のことを客観的にかえりみるべきだ」
「……貴方は、ミモザの味方なのかしら」
 ぽつりとステラはこぼした。その口調はひどく寂しげで、そしてとても禍々しい。
「どちらの味方とか、そういう問題ではありませんよ」
 呆れたようにジーンはため息をついた。
「どちらの意見に正当性があるか、これはそういう話です」
「王都に来てから……、なんだかおかしいわ」
 ジーンの言葉が聞こえていないかのように、ぽつりぽつりとステラはこぼす。
「村ではみんなわたしの意見を聞いてくれた。わたしは優秀だって、優亜鉛 の サプリしいって、正しいって言ってくれたのに」
 ステラの表情は変わらない。涼しい表情のまま、唇にはわずかに笑みすら浮かんでいるというのに、その瞳だけがぽっかりと穴が空いたかのように薄暗かった。
「貴方はわたしよりもミモザが好きなの?」
「………。どちらが好きかで言ったら、まぁ、貴方のことは好ましくありませんね」
 ステラの瞳孔がショックを受けたように収縮する。そして一度ゆっくりと瞬きをした。
「邪魔をしないで」
「したくてしてるわけじゃないんですけど、ねっ」
 ステラから氷の破片が放たれたのを、ジーンは土壁を作ることで受け止めた。そのままその土壁は蛇のようにぐんっとうねると、一気に伸びてステラへと突進すサプリメント マカる。ステラはそれを避けたが、土壁はどこまでも追跡を続けた。
「……くっ」
 ステラは氷の破片を放って土壁を凍らせることでその動きを止める。しかしその時にはもう、ジーンはステラの逃げるルートを読んで土壁と挟み込むようにその背後へと回り込んでいた。
「……っ」
 切り付けられた刃をステラはなんとかレイピアで受け止めたがその切先は耳障りな音を立てて滑り、ステラの頬を掠める。
 彼女の血が宙を舞った。
(すごい)
 ジーンのことである。魔力が多いことは知っていた。しかしあれだけの量の土を動かし、なおかつそのスピードもコントロールも落とさないというのはかなりの熟練の技だ。事実ステラもミモザも攻撃は直線的で、相手を追尾するなど困難である。
 それに剣術においてもジーンに一日の長があるのだろう。そもそもステラの武器であるレイピアは斬り合いをするようには出来ていない。接近をゴーヤ チャンプルー許し切り結んでしまった時点でステラは圧倒的に不利である。
「もうやめませんか。今ならばまだ貴方の行為は未遂だ。貴方が大人しく手を引くというのなら、僕は何もしませんよ」
「わたしが悪いことをしているみたいに言うのをやめて……っ!!」
 ステラが激情したように叫ぶ。その強さにジーンは呆気に取られたように動きを止めた。
 その隙を突いてステラが氷の破片を生成する。
「危ないっ!!」
 ミモザは素早く駆けるとジーンに飛びついた。
「ぐぅ……っ!」
 氷の破片が、すんでのところで飛び込んだミモザの足を貫く。そのまま2人はごろごろと地面を転がった。
「ミモザさん!」
「………っ」
 地面には2人が転がった軌道をなぞるようにそれなりの量の血が広がった。それに気づいたジーンが声を上げるが、ミモザはすぐに起き上がると油断なくメイスを構える。ジーンもその視線を追うようにして彼女のことを見た。
 彼女ーー、ステラのことを。
 ステラは無言で佇んでいた。いつもは華やかな笑みを浮かべる口元は無感情に閉じられ、明るい輝きを宿す瞳は昏くよどんでいた。彼女はレイピアゴーヤをひたりとミモザへと向ける。
「わたしの邪魔をしないで」
 ぞくり、と身を震わせる。ミモザは自分の死を覚悟した。
「もうやめて!」
 唐突に、悲鳴のような声がその空気を引き裂いた。
 その声にステラが夢から覚めたように顔をあげる。振り返った視線の先では、少女が頭を抱えるようにしてうずくまり、泣きじゃくっていた。
「もう、やめて。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしが悪かったです、ごめんなさい」
 嗚咽を漏らしながら、彼女は言葉を紡ぐ。
「こんなことになるなんて思わなかったの、こんな、怪我する人が出るほどのことだなんて……」
「貴方は気にしなくて良いのよ?」
 ステラがゆっくりと彼女に近づく。少女はそれに怯えたように身を引くと、拒絶するように首を振った。
「ごめんなさい! わたしが間違ってました。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「君たち、一体何をしているんだい?」
 その時落ち着いた男性の声が響いた。見上げるとそこには教会騎士団の制服を着た若い男性が立っていた。彼は訝しげに身を震わせて謝罪を繰り返す少女と血を流すミモザ、それを支えるようにするジーン、そして立ち尽くすステラを見る。
 周囲を見渡すと塔に入るために行列を作っていた人々が伺うようにこちらを見ていた。
(そりゃそうだ……)
 いかに距離を取っクロムた場所でのやりとりだったとはいえ、あれだけ派手にやり合えば人目につくに決まっている。心配した人々が騎士に報告したのだろう。
「とりあえず……、そっちの子は手当をしようか。あと全員話を聞かせてもらうから、詰め所まで来てもらうよ」
 彼は冷静にそう告げた。
ゴーヤゴーヤ チャンプルー亜鉛の効果

 第6の塔アントシアニンの効果

 第6の塔の祝福は亜鉛の効果、水中移動である。
 クロムの効能その名の通り、水の中を移動できるようになる祝福で、ゲームの中では巨大なシャボン玉に入って水の中を移動していた。
 ミモザは今、第4、第5の塔をすっ飛ばしてここに来ていた。
 理由はーー、
(お姉ちゃんはゲームのことを知っ亜鉛ている……?)
 マシューの発言だ。もしもステラがすべてを知っているのだとしたら先にやっておかねばならないことがあった。
(いや、でも……)
 ゲームのことを知っているというにはマシューの言っていたステラの発言は少し違和感がある。
 ゲームの記憶を持つミモザとしては『繰り返している』という感覚はない。そのため『これから起こることがわかる』という発言にはクロムの効能同意できても、『前回』『やり直せた』に関しては奇妙な発言であるという感覚を拭えない。
(まるで本当にそうしたみたいな言い方)
 そこでハッとミモザは顔を上げた。
(ゲームの記憶じゃなくて、本当に『前回』の記憶があるのか……?)
 だとしたらその言い方にも納得がいく。
「チロ、どう思う?」
「チー」
 チロは肩の上で首を横に振ると、今考えたところで結論は出ないぞ、とミモザのことを諭した。
「……そうだね」
 とりあえず、ステラが『これから起こること』を知っているのは確かなのだ。
「準備を早く進めないと」
マカ と は そう言っている間に、ミモザは広大な湖へと辿り着いた。
 これが第6の塔の試練だ。
 ミモザはその湖へと足を踏み出す。
 試練の内容は単純明快、向こう岸まで辿り着くこと、その過程で湖の中に沈む鍵を見つけることだ。
 当然、湖の中には野良精霊がうじゃうじゃ泳いでいる。
 しかし今回のミモザのお目当てはそれだけではない。
 実はこの第6の塔には隠しステージが存在する。水中にある洞穴のうちの一つが異空間へと繋がっており、そこにあるアイテムがあるのだ。
 その名も聖剣。
 それを手に入れることにより、主人公の攻撃力が全体的に向上するというチートアイテムだ。
 これは難易度がイージーの際にだけ出現する隠しアイテムであり、手に入れなくてもゲームの攻マカ サプリ略に支障はないが、手に入れればサクサク敵を倒せる便利お助けアイテムである。ステラは最初の塔で金の祝福を受けていた。ということはイージーモードのはずなのだ。
(それをお姉ちゃんより先に手に入れる)
 あるいは破壊する。
 悲しいかな、これまでの経験からミモザは若干予防線を張るように心がけていた。
 自分ではダメだった時の予防線だ。
 例えゲーム上では見つけさえすれば誰でも使用可能という設定の聖剣であろうが、これまでの祝福がすべて銅という強制ハードモードのミモザでは駄目かもしれない。
(いや、いいんだ。お姉ちゃんの手に渡りさえしなければ……)
 もうそれ以上は望むまい。そう拳を握る主人にチロは同情するようにその頬を撫でた。

 ミモザは湖を泳ぐ。透明度の高い湖は見下ろすだけでその内部を覗き見ることができた。
 湖の底には人工物と思しき石造りの建物や石像がちらほら沈んでいる。それが何を意味しているのか、ミモザにはわからなかった。
(見つけた)
 そクロムの中に小さな白い石碑を見つけてミモザは大きく息を吸うと潜水した。
 この石碑が聖剣の在処を示す手がかりなのだ。
 この石碑には古代語が刻まれている。その古代語自体には大した意味はないが、全く同じ文字が三ヶ所に書かれており、それを繋げると三角形ができるのだ。その三角形が矢印の役割を果たしており、その示す通りに進むと次の石碑が現れるという寸法だ。それを辿っていけば最後は聖剣に辿り着けるはずだった。
 ミモザは石碑の文字を確認する。趣味のおまじない関連本の読書により鍛えられた古代語の知識でなんとはなしにその文章を読む。
「…………」
 そこには『最近の若者はなっとらん、目上を蔑ろにして……』という愚痴が延々と書かれていた。
(これを作った人、立場弱かったのかな……)
 聖剣を使えばそれなりの地位を築けそうな気もするが、隠しているということは隠した人物は使用しなかったのかも知れない。
 ミモザは気を取り直して三つの文字を探し、そして方向を確認するとその石碑をメイスの棘で貫き粉砕した。水上へと上がると矢印の方向へと適宜水底を確認しながら泳ぐ。あ亜鉛 サプリとはひたすらそれの繰り返しだ。
 塔の内部は基本的に石造りなのだが、所々光を放っている石が頭上にも水底にも存在していてある程度の視界は確保できていた。もしかしなくとも暗視の祝福があればもっと見やすいのかも知れない。
 時々似たような石造りの像などに騙されることもあるが一つ一つ確認しながらミモザは進む。ついでに手がかりの破壊も忘れない。
 ステラに一周目の記憶があるのならば記憶を手がかりに聖剣を探せばいいため、この破壊行為は無意味だと思われるかも知れないが、実は有効な戦略である。
 何故なら聖剣の位置は一周目と二周目で異なるからだ。
 もちろん、ゲームの記憶があるのならば、そしてニ周目をプレイしたことがあるのならば石碑がなくても聖剣の位置はわかるだろう。その場合は隠蔽工作としての意味はない。しかしこうすることでステラの反応から彼女にある記憶が『前回の記憶』なのか『ゲームの記憶』なのかを判断する材料になる。
 場所が見つけられなければステラにあるのは『一周目の人生の記憶』、場所が見つけられるのならばステラにあるのは『ゲームの記憶』だ。
 確認するタイミングがあるかどうかわからないが、後々参考になれば儲けものである。
 ふいに、潜水するミモザの頭上に黒い影が差した。それは巨大なワニの姿をした野良精霊だ。彼ゴーヤはミモザに気づくと同時にものすごい速さで急降下してきた。
 そしてごぽっ、と音を立てて泡を吹きながらその動きを止めた。ミモザがメイスの棘でワニを刺し貫いたからである。しばらく力無くもがいていたが、やがてその動きを止めたワニに、ミモザはメイスの棘を引っ込めた。そのままワニは水上へと浮かんで行く。周囲にワニの血が広がり視界が悪くなったので、ミモザも一度水面へと浮上した。
「……ぷはっ」
 ぜいぜいと肩で息をする。さすがに長時間水泳と潜水を繰り返すのはきつい。
「筋肉がなかったら断念していたかも知れない……」
 やはり筋肉は素晴らしい、としみじみとつぶやく。
 ちなみにゲームでのステラは合成スキルで船を作って移動していた。そして鍵の光が見えた時だけ潜水するのである。
 ではミモザは何故そうしないのか? 答えは簡単である。
 銅の合成スキルでは大きい物は作れないからである。
 ミモザは無言で頭上をふり仰ぐ。
 別に気にしてはいない。今更である。
 何故か湖の水なのに若干塩辛く感じるがこれは誰がなんと言おうと気のせいなのである。
「やばい……、挫けそう」
 上半身だけ水面に出しながら思わず顔を両手で覆うミモザに、チロはメイス姿のまま、今挫けたら死ぬぞ、と忠告をした。
 そうこうしているうちにやっと終点にたどり着いたらしい。潜水するミモザの目の前にぽっかりと口を開いた洞窟が現れた。中は暗闇で見通すことはできない。
「…………」
 ミモザは覚悟を決めると、その洞窟の中へと飛び込んだ。

 洞窟の内部は緩やかに上方へ亜鉛 サプリ おすすめと昇る坂道になっていた。少しずつ幅の狭くなる道に引っかからないように注意しながらミモザは進む。すると急に開けた場所に出た。ずっと岩だらけだった足元は砂に変わり、ミモザは水面目掛けて上昇する。
「……はぁっ、はぁっ」
 あたりを見渡すとそこは入江のようになっていた。もう少し進めば足がつきそうだ。岸を目指して泳ぎ、久しぶりにミモザは地面へと足をつけた。
「間違いない。ここだ」
 最後の石碑が砂浜に刺さっている。ミモザはその向きを確認するとメイスですかさず壊し、足を進めた。
「………?」
 一見すると、それはただの行き止まりで、塔の壁である岩壁があるだけのように見えた。
「いやでも、確かにこっちに矢印が……」
 ミモザはその付近の岩壁を手で撫でる。すると1ヶ所だけやけに冷たいことに気がついた。
「…………」
 水中で拾っておいた鍵をミモザは取り出す。それは当然のように銅だったが、今は色は関係ない。
 それを冷たい岩に押し付けた。
「………っ!?」
 とたん、ミモザは引力のようなものに引っ張られてその中へと吸い込まれた。
マカクロムdha epa dhadha

 ミモザはあたりをアントシアニン

 ミモザはあたりを見渡した。馬型の精霊達は血に興奮したのか臨戦態勢だ。
「ミモポリ ペプチドザさん!助太刀を……っ!」
 ジマカ サプリーンがそう叫び剣で精霊を切り捨てようとするのを、阻止するようにチロの棘が刺し貫いた。
「……っ!」
 棘は正確に馬の目を刺し貫いている。そのままミモザがメイスを振ると、迫ってきていた精霊達10体ほどはすべて中身を撒き散らして絶命した。
「ミモザアントシアニンの効果さん……」
「余計なことはしないでください」
 不満そうなジーンに、ミモザも不満げに口を尖らせる。
「貴方の仕事は連絡役です。それ以上は越権行為だってオルタンシア様もおっしゃっていたじゃないですか。もしも何かをしたいというなら彼らに必要な物資がないかの聴取をお願いします」
「このような状況で越権行為もなにも……」
「このような状況だからでdha epaす」
 じろり、と睨む。
「僕はレオン様に迷惑をかけるわけにはいかない。状況につけ込んで事を有利に進められては困ります。貴方は僕たちと敵対したいのですか?ジーン様」
 ジーンはしばらく睨んでいたが、その不毛さに気づいたのだろう。諦めたようにため息をついた。
「貴方がそんなに職務に忠実だとは……、おみそれしましたよ」
「貴方は職務にだらしがないんですか?」
「嫌味ですよ!そんなこと誰も言ってないでしょ!!」
 文句を言いながらもそれ以上争うつもりはないらしい。彼は素直に被害者遺族の会のメンバーへと近づきアントシアニン、何か話しかけているようだった。
 ミモザも気を取り直してメイスを握り直す。
(さて……)
 ちらりと背後にかばったジェーンを見る。彼女の顔は青ざめているが毅然としていて、なにかを覚悟したかのように見えた。
「……動かないでくださいね」
「え?」
 戸惑ったように顔を上げたジェーンを一瞥し、ミモザはメイスを地面に打ちつける。とたんに棘が恐ろしい速さで伸び、精霊達の目を一瞬で刺し貫いた。悲鳴のような甲高い鳴き声をあげて彼らは地に倒れ伏す。気がつけばミモザ達の周りには遺体が散乱し、生きている野良精霊は1匹もいなくなっていた。
「すげー……」
 マシューが思わずと言ったように言葉をこぼす。
「さぁ、一応片付けはしましたが、またすぐに集まってきマカ と はてしまうでしょう。今のうちに避難をしましょう」
 そしてミモザはどさくさに紛れて当たり前のような顔で避難を促し、
「それはできないわ」
 あっさりと拒絶された。
(まぁ、そりゃそうだ)
 そう簡単に流されてくれるようならレオンハルト達も苦労はしていないのだ。やっぱりレオンハルトが駆けつけるまで待つしかないか、と考えていると「でも、そうね」とジェーンが再び口を開いた。
「私以外のみんなは帰ってちょうだい」
 ざわり、とざわめきが起こる。それをゆっくりと見回してジェーンは告げた。
「先ほどマシューさんが言ってくれたように、成果は充分です。私たちの本気は伝わったはず。私は当然これ以上の犠牲を望みません。ですから、皆さんは一度撤退を」
「でしたらジェーンさん、貴方も」
 言いかけるマシューに彼女は首を横に振った。
「今は話し合いの場を設ける好機です。だってこうして向こうから出向いてくださったんですもの」
 そう言って彼女はミモザを手で示して見せた。
(僕……?)
 思わずクロムの効能自分を指さして確認すると、いかにもと言わんばかりにジェーンは頷いた。
「あなたは私が聖騎士様にお声をかけさせていただいた際に彼と共にいらした方ですね。よろしければお名前を伺っても?」
 またざわりと周囲はざわついて、ミモザに視線が集中した。それに気まずい気持ちになりつつミモザは手を胸に当てて騎士の礼をとる。
「僕はレオンハルト様の弟子の、ミモザと申します」
 その言葉にざわめきが大きくなる。
(うう……)
 針のむしろとはこのことだろうか。逃げ出したい気持ちをなんとか抑えてミモザは踏みとどまった。
「まあ、お弟子さんがいらっしゃったのですね」
「不肖の弟子ですが」
「聖騎士様はいらっしゃらないの?」
 当然の疑問に、ミモザは嘆息した。
「今現在、王都周辺では野良精霊の大量発生が起こっております。王国、教会の両騎士団、そしてレオンハルト様はその解決のために奔走されております」
 またざわめく。今度は収まるまでに時間がかかった。
「そのため、今はこちらに訪れることが難しいのです。どうか一度塔から出て、時期を調整してはいただけませんか。すべてが落ち着いた後で話し合いをしましょう」
 ミモザの提案に、けれどクロムの効能ジェーンは首を横に振る。
「ここを出てからでは話し合いの席を設けてはいただけないでしょう。よしんば話し合いを行なったとて、対等に意見を交わしていただけるとは思えませんわ」
 図星を突かれてミモザはうっ、と言葉に詰まる。
 おそらく話し合いの場を設けたとして、それは結論ありきのものになるだろう。被害者遺族の会の話を聞く機会は設けましたよ、と体裁を整えて終了だ。
「ですので、私がここに残ります。皆がここに残る必要はないでしょう」
 口々にどうするかと話し合う声が聞こえる。皆行動を決めかねているようだ。
(とりあえず人数減らすか)
 死傷者が出るのを防ぐことがミモザの第一目標だ。そのためには塔の内部にいる人間はできるだけ少ない方がいい。
「ではその左端の背の高い貴方!貴方から順番にジーンさんに着いて外に出てください!」
「余計な事するなって言ったわりには人使い荒いなぁ、まぁ避難には僕も賛成だけどさ」
 ぶちぶちと文句を言いながらもジーンは動き始める。
 戸惑いながらも指示に従って動き出す人々にミモザはほくそ笑んだ。
(これぞ必殺…)
 『名指しされると従ってしまう奴』である。
 よく緊急の現場では単純に「救急車に電話してください」というよりも「そこの赤い服の方、救急車に電話してください」と具体的に指名した方が人は動くという通説がある。それをしてみただけである。
 しかし効マカ と は果はあったようだ。ミモザは満足そうに頷いた。
「いかん!いかんいかんいかんいかん!!」
 その時甲高い喚き声が響いた。見ると1人の老人が地団駄を踏みながら喚いている。
「お前ら!お前らの家族に対する思いはその程度か!これ以上犠牲を出したくないという気持ちは!所詮その程度だったんだな!えぇ?」
「ロランさん」
 冷静な声が彼を呼ぶ。ジェーンだ。
「私たちの思いは本物です。その程度などではありません。教会側は使者を出してくださった。その成果が得られたのでもう全員がこの場に残る意味がないという判断をしたまでです。それに私はこの場に残るのです。それで充分でしょう?」
 見透かすようなその言葉に、ロランはしばし押し黙るとにやりと笑った。
「ではわしも残るとしよう。お主だけに任せるわけにはいかん」
「俺も残ります!」
 手を挙げたのはマシューだ。その新緑の髪と緑の瞳に見覚えがある気がしてミモザは首を傾げる。
(……あ?)
 緑、そばかす、童顔、そして被害者遺族の会
(思い出した)
 彼は攻略対象だ。確か姉とはどこかの塔で出会うはずだ。ゲームはシステム上親密度の高い攻略対象複数人とパーティを組むことになるのだが、彼は回復役担当で恋愛対象としてはともかく、パーティメンバーとしては人気が高かった。
 確かステラが「出世した暁には教会側と被害者遺族の会との間をつなぐのに尽力する」と約束するシーンがあったように思う。
「……では、私たち3人で残りましょうか」
 ジェーンがそう取り仕切って、結局この場にはその3人が残ることとなった。
亜鉛 の サプリポリ ペプチドdha epaアントシアニンの効果

 木陰からその手はマカ

 木陰からその手は伸びていた。大きくふしだった男の指先が『それ』とミモザの手にするdha亜鉛 サプリ おすすめモーニングスターメイス、チロのことを示す。
 チロからは黒い塵のような魔力のオーラが漏れ出ていた。
 慌てて背中にチロのことを隠すが、男のセリフからも、もう遅いのは明白だ。
 声ととマカもに影から姿を現したのは引き締まった体に教会に属する精霊騎士であることを示す白い軍服を身にまとった美丈夫だった。
 夜空のように深い藍色の髪は豊かに脈打ちリボンで一つに束ねられて背中を流れ、その長い前髪で右目は隠されているものの黄金色の左目がこちらを眼光鋭く見据えていた。
 彼の背後にはミモザの背丈ほどもあマカ サプリる翼の生えた大きな黄金の獅子が同じくこちらを睥睨している。
 その王者然とした堂々たる体躯の男にミモザは見覚えがあった。
(嘘だろ)
 心中でうめく。
 彼の名はレオンハルト。
 いじめっ子のアベルの腹違いの兄であり、この国最強の精霊騎士である『聖騎士』の称号を冠する最強の男であった。

 『狂化個体』は取り締まりの対象である。
 その多くは欲望に理性を飲まれてしまい何をするかわからないからだ。
 実際、ゲームの中のミモザとチロも最初はささやかな嫌がらアントシアニンの効果せをする程度だったのが段々とヒートアップしていき、最後の方はかなり直接的に主人公達に危害を加えようとしていた。
 ミモザは後退る。
「いや、これは……っ」
 なんとか言い訳を捻り出し逃げ道を探そうとして、不意にその体が発火するような熱につつまれ、息が詰まって二の句が告げなくなった。
「……はっ」
 呼吸が荒くなる。動悸がする。
 一瞬レオンハルトが何かをしたのかと疑ったが、すぐに違うことに気がついた。
「チゥーー」
 チロが低く唸る。
 チロが身に纏った黒い塵のようなオーラが、チロを握る手を伝い、ミモザの身体も飲み込もうとしていた。
「……あっ、」
 体が勝手に臨戦態勢をとる。チロに引っ張られるようにその切先をレオンハルトへと向けた。
 彼にもミモマカザの状況がわかったのだろう。側に控えていた黄金の翼獅子に手をのばし、その姿を身の丈ほどの見事な刃ぶりの剣へと変じさせる。
(待て……っ!)
 心で命じるのに体が言うことを聞かない。いや、違う、あれは敵だ。
 自分達を拘束しに来た敵だ、と頭が警鐘を鳴らす。
「チチッ」 
 バレたからには殺すしかない、とチロが囁いた。
亜鉛dha epa

「奇妙な事件亜鉛の効果

「奇妙な事件が起きています」
 そう重々しく告げたのはオルクロムの効能タンシア教皇聖下だった。彼は執務机に肘をおき、サプリメント マカふぅ、と疲れたように息を吐く。
 その場にはオルタンシアを除くと4人の人間がそろっていた。
 ミモザとレオンハルト、そして教会騎士団団長のガブリエル。
 そして最後の1人は渦中の人であるジーンの師匠、フレイ亜鉛 サプリ おすすめヤである。
 彼女はわずかに怒りを滲ませた瞳でオルタンシアの言葉を聞いていた。その目は吊り上がり己の感情を体の内に必死に押し留めているのであろうことが窺える。怒りが彼女の生来の美しさをさらに苛烈なものにしていた。
「もうお聞きおよびかとは思いますが、改めて簡単に説明を。一言で言えば精神汚染が起きているようです」
 ここ最近、人格が入れ替わったように変わるという異変dhaが立て続けに起こっていた。穏やかだったのに気性が激しくなったり、逆に精力的な人だったのが無気力になったりという具合にだ。けれどその件の特筆すべきはある共通点である。
「ある人間に異常に傾倒、あるいは恋慕するようになるとのことです」
 それも、今まで見向きもしなかったような相手に対してそのようになることが多いという。さらに詳しく言えばこれまでに振った相手や自身のストーカーなど、今まで一方的に思いを寄せてきていた相手に何故か一転して執着するようになるらしい。
「これは、あれですね」
 ガブリエルは真面目腐った顔で頷く。
「あれでしょうねぇ」
dha オルタンシアは困り果てたように頷いた。
「あれですか」
 フレイヤは不愉快そうだ。
「あれか」
 レオンハルトは呆れたようにため息をついた。
「あれってなんですか?」
 唯一わからなかったミモザが挙手した。
 みんなが一斉にそんなミモザを見る。
(いや、常識のように言われても……)
 わからないものはわからないし、知らないものは知らないのである。
「これがジェネレーションギャッ、」
「ミモザ」
 レオンハルトにデコピンを喰らわせられてミモザは口を閉ざした。
 むぅ、とうなるミモザをスルーして、オルタンシアは「実は最近密売事件も起きてまして……」と言葉を続ける。
「どうやらとある薬を売り捌いている怪しげな人物が出没するのだそうです」
「とある薬?」
 再び懲りずに声を上げるミモザに、オルタンポリ ペプチドシアは淡々と机の上に小さな袋をひょいと置いた。
 透明な袋に入ったそれは、
「……飴?」
 にしか見えなかった。赤やピンク、オレンジに黄色といった可愛らしい色合いのハートの形をした飴である。
(あれ、これどこかで……)
 思い出そうとするミモザの思考を遮って
「名付けて、ラブドロップだそうです」
 オルタンシアが答えをくれた。
 その名称にミモザは思い出す。これはーー
(好感度上昇アイテムだ)
 ゲームの中では攻略対象者の好感度を上げるために会話の選択肢やデート、そしてそのキャラの好きな貢ぎ物をあげるという方法があるのだが、その中で怪しい商人から買えるチートアイテムがある。
 それがラブドロップ。その名の通り好感度を爆上げするアイテムである。
 お値段はそれなりに張るのだが、それだけあって効果はてきめんである。他の要素を進めるために好感度を上げるのを怠っていたプレイヤーはよく使用するアイテムだ。
(……ってことは、つまり)
 無理矢理薬で好感度をクロム上げられたことによる精神汚染事件が起きているということである。
「ネーミングセンス最悪っすね」
「馬鹿がつけたんだろう」
 ガブリエルとレオンハルトが容赦なくその名前をこき下ろした。 
「私が決めたわけではなく、そういう商品名のようでしてね」
 オルタンシアは気まずげにごほん、と咳払いをすると「まぁ、古くは『恋の妙薬』という名前で取引されていた魔薬です」と説明を付け加えた。
「実際に見たことのある人は少ないでしょうが、名前だけは聞いたことがあるでしょう。大昔に開発されてその危険性から規制の対象となり、今ではその製法を記した本は禁書として王族の管理する車庫に封印された劇薬ですよ」
 ミモザははい、と手を挙げる。
「はい、ミモザくん」
 オルタンシアが指名した。
「その書庫に入れる人の仕業でしょうか?」
 それにオルタンシアは首を横に振る。
「少し考えづらいですね。王室書庫の、しかも禁書庫に入れるのは王族に連なる方々でも一部の方と、それから教会の代表者として私だけです。王族の方々がこのような事件を起こすメリットがありません。もちろん私も同様、手間がかかるだけでなんのメリットもありません」
 確かになぁ、とミモザはdha epa思う。第一、一番に疑われる羽目になるのにそれを堂々とばら撒くとも考えにくい。
「おそらくですが、大昔はその製法が広く普及していましたから、こっそりとそれを伝えていた方がいたのでしょう。はぁ、まったく、頭の痛い話です」
 少し考えてからミモザはもう一度挙手した。
「はぁ、どうぞ、ミモザくん」
「副作用はありますか?」
 やる気なく指名したオルタンシアはその質問に「おや」と声を上げた。
「とても良い質問ですね。元来魔薬というのは副作用のない薬として開発されたものです」
「じゃあ……」
「ですが」副作用がないのか、と納得しかけたミモザにオルタンシアは告げる。
「よく効く薬というのは毒にもなりえます」
「つまり?」
「つまり、分量を誤れば効きすぎによる弊害が起きます。この薬の場合は常に相手に恋している状態を作り出すわけですから、恋は盲目というでしょう。相手に盲目になりすぎるあまり、依存関係へと陥り最終的には相手以外の全てがどうでもよくなります。具体的に言うと過去流行した時には心中事件が多発しました」
 なんと、ヤンデレ量産薬だった。
 その時そのやりとりを黙って聞いていたガブリエルがにやにやと口を開いた。
「あれぇ? そんなこと聞くってことはぁ、ミモザちゃんってば飲ませたい相手がいたりしてー」
 茶々を入れるガブリエルのことをレオンハルトが睨みつける。彼が何か言うよゴーヤりも先にミモザは「そうですねぇ」と思案するように口を開いた。
「ミモザ?」
 師匠の訝しげな声を尻目にミモザは考え考え話す。
「これをうまく使えば痴情のもつれで起きる事件を防げたり、子どもの出生率をコントロールしたり、あと過去の事例で兵士同士が恋に落ちるとすごく強くなるという話を聞いたことがあったのでいいかと思ったんですが……。ちょうどいい用法容量を守っても問題が起きるものなんですか?」
 ミモザの言葉を聞いてレオンハルトはあからさまに顔をしかめた。
「……薬で得られる愛情に価値があるのか? 考えるだけで気色が悪いな」
 そのまま吐き捨てるように言う。その言い様にミモザはむっと口を尖らせる。
「……レオン様は案外ロマンチストですよね」
「……君は大概情緒の未発達なお子様だ。だからそんなふうに他人事のように平然と理屈をこねられる」
 不機嫌そうに言い返された言葉にミモザは驚く。
「レオン様にとっては他人事ではないのですか?」
「…………」
 レオンハルトは黙り込んだ。そして微妙な顔をしてミモザのことを見つめる彼の肩を何故だかガブリエルとフレイヤの2人は同情するように両側からぽんと叩いた。
「……まあ、そもそもちょうど良い用法など知ってる人間はいないでしょうね」
 その微妙な空気をリセットするようにオルタンシアが口を開く。
「え?」
 驚いて振り返るミモザに彼は呆れたように肩をすくめてみせた。
「まさか人体実験するわけにもいかないでしょう」
「あー……」
「それに魔薬は本当に扱いが難しいのです。管理する温度や使用する者の体質にゴーヤ チャンプルーよって大きく効き目が変わる。コントロールは困難だと思いますよ」
「じゃあ有効活用は無理なんですね」
「そもそもそんな危険な劇薬を有効に使おうとするな」
 なんとか気を取り直したレオンハルトが叱責するようにミモザの額に再びデコピンを食らわす。その威力に「ううっ」とうめいていると、それを白けた目で眺めながらオルタンシアが告げた。
「まぁ、有効活用できるくらいなら規制して封印したりしませんよね」
 ごもっともだなぁ、とミモザは頷いた。
サプリメント マカ亜鉛 サプリ おすすめdha epaゴーヤ チャンプルー

 大人の登場にそ亜鉛 サプリ おすすめ

 大人の登場にその場に緊張が走った。
「一体誰だ?お前ら全員か?あdha epaん?」
 よりにもよってガラの悪い人の家だった。
 しかし亜鉛の効果状況が変わったのは確かだ。ミモザは助けを求めようと家主の男に話しかけようとしてーー
「こいつだ!!」
「……え?」
 アベルが指さしていた。ミモザのことを。
「こい亜鉛の効果つが割ったんだ!俺たちは関係ない!!」
「……っ!!」
 確かにガラスを割ったのはミモザだ。しかしそれはアベル達に追われていたからだという言い訳は、家主の男には関係ない話だろう。
(どうしよう)
 どうしたらいいか頭がまったく回らず汗が全身から噴き出す。ここで窓ガラスを割ったのがミモザだと素直に認めたらどうなるだろマカうか。男には怒られるがアベル達からは逃れられる?しかしまた同じ目にあわないとはとても言えない。可能であればここでアベル達はもう一度咎められてほしい。バレなければいじめて構わないという成功体験を積み重ねさせるのは悪手だ。しかしどうしたらいいかがわからない。
 ミモザにはどうしたらいいかがわからない。
「お前……」
 ミモザはその声に身をすくめた。
 家主の男は険しい顔でミモザのことを見つめ、手をーー、
「待ちなさい」
 鋭い声と共にその手は制止された。
「俺はすべてを見ていdha epaたぞ」
 そう言って現れたのは
「レオン様……」
 レオンハルトだった。
「言うべきことがあるのではないか?」
 風になびく波打つ藍色の長髪、金色に輝く左目。
 長身の美丈夫が皆を睥睨するように腕組みをして言った。

「兄貴!!」
 アベルは思わぬ加勢に目を輝かせる。ミモザは反対に顔を俯かせた。
 すべてを見ていたぞ、とレオンハルトは言った。
 ミモザが窓ガラスを割っているのを見たからそのように言ったのだろう。まして相手はレオンハルトの弟である。
(終わった……)
 いかにミモザがレオンハルトの弟子とは言えど、せいぜい半年の付き合いである。レオンハルトが弟のことを可愛がりこの村に訪れているのは有名な話だった。
 どちらの肩を持つかなど火を見るよマカりも明らかだ。
「なぁ、兄貴!わかるだろ!窓ガラスを割ったのはこいつだ!俺は悪くねぇ!」
 喜色満面でアベルは兄に近づきその腕に触ろうとしてーー、その手を振り払われた。
「……え?」
 見上げたレオンハルトの顔は、険しい。
「嘘をつくな」
 誰もが耳を疑うような言葉を、彼は重々しく告げた。
「俺はすべてを見ていたと言ったはずだ。誤ちは自身で認めなさい」
「あ、兄貴?見てたならわかるだろ?俺は本当に……」
「嘘をつくなと言っているだろう!」
 けして怒鳴っているわけではないのに怒鳴りつけられたような迫力をもって彼は告げる。
「お前達4人はその子を追いかけ回して石を投げつけていたな」
「……えっと」
 予想外の展開にミモザはぽかんと間抜けに彼を見上げてしまう。
「その投げたうちの一つがこの窓ガラスに当たったんだ」
「ち、違う!」
「何がゴーヤ チャンプルー違う?」
 ゆっくりとレオンハルトはミモザへと近づくと、ミモザの顔を見て眉をひそめた。そっと割れ物にでも触るように手を伸ばすと傷口へと触れる。
「……っ」
「痛むだろう。すまなかった。駆けつけるのが遅くなった」
 そして今度は立ち上がると窓ガラスを割られた家主へと深々と頭を下げる。
「俺の愚弟が大変な失礼を致しました。こちらの窓ガラスは弁償させていただきます。大変申し訳ありませんでした」
「あ、ああ、まぁ、弁償してくれんなら俺はいいけどよ」
「後日修理にかかった金額を伝えてくだされば払いますので」
 もう一度丁寧に「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる。
「違う!なんで兄貴が頭を下げんだよ!!」
 それに不満を唱えたのはアベルだ。しかしそんな弟のことをぎろりと睨むと「お前が頭を下げないからだろう」とレオンハルトは言った。
「お前もきちんと謝罪しなさい」
「違う!俺は悪くない!!」
「ではきちんと説明しなさい」
 アベルの喚き声はぴしゃりと跳ね除けられる。
「お前は確かにその子に石を投げつゴーヤけて追いかけ回していた。俺は確かにそれを見た。それを間違いだというのならきちんと筋を通して説明しろ。できないだろう」
「た、確かに投げたよ、投げた!でもそれはそいつに向かってであって、窓ガラスは割ってない!割ったのはこいつなんだよ!」
 アベルの主張にレオンハルトはため息をつく。
「なぜこの子が窓ガラスを割る必要があるんだ」
「……そ、それは」
「逃げていたその子が窓ガラスを割ったと考えるより、石を投げていたお前らが割ったと考えるほうが自然だ。そうだろう?お前の言葉にはなんの説得力もない」
「でも本当に、本当なんだ。割ったのはこいつなんだ」
「よしんば窓ガラスを割ったのがその子だったとして、この子によってたかって石を投げつけていたのは事実なのだろう?」
 アベルが見上げた先には氷のように冷たい目をした兄がいた。
「軽蔑されるには充分な行いだとは思わないのか?」
「……っ、お、俺は」
「なんだ?正当な理由があるなら言ってみろ。一体どんな理由があったら女の子1人に4人でよってたかって石を投げつける正当性があるのか俺には皆目検討がつかないが」
「………っ!!」
 アベルは悔しそうに唇を噛みしめる。レオンハルトの言葉に反論できないのだろう。
 しかし窓ガラスを割っていないという彼の主張は正しマカいのだ。このまま黙っていろという自分と、レオンハルトを欺くつもりなのかという自分。両者がせめぎあって、ミモザは「あ、あの」と重い口を開いた。
「あの、あの窓ガラス……」
 しかし皆まで言うことは叶わなかった。即座にレオンハルトの手が伸び、周りに見えないようにミモザの傷を確認するふりをしながら口を塞がれたからだ。目を白黒させるミモザに、彼は全て了解しているというようににやりと笑った。
 その表情に、何も言われていないのに黙っていろと言われたように感じてミモザは口をつぐんだ。
「ああ、本当にすまなかった。痛むだろう。弟に代わって謝罪する」
 ミモザはその言葉に無言でこくこくと頷くのがせいいっぱいだ。レオンハルトはそれに苦笑すると地面に転がったままだったランチボックスを手にして土を払い、ミモザへと差し出した。
「本当にすまなかった。彼らは俺が責任持って親の元へと連れて行き反省させよう。君にも謝罪をさせる」
 そしてミモザの耳元へと口を寄せると周りには聞こえないように「ヘマをしたな」と囁いた。
「窓を割る必要はなかった。君は逃げるだけで良かったんだ。俺以外目撃者がいなくて良かった。次からはもっとうまくやりなさい」
 悪戯に成功した子どものように笑うレオンハルトに、ミモザは「お手数をおかけしました」と自分でもちょっとズレてるなと思う返答しかできなかった。
 レオンハルトの目がおもしろそうに瞬いた。
亜鉛の効果クロムの効能ゴーヤゴーヤ

 宿屋のベッドに腰クロムの効能

 宿屋のベッドに腰掛けて、アベ亜鉛 サプリルは待っていた。
 先日の強制捜査のdha epa後、二人はさらに郊外の宿屋へと場所を移していた。昨夜チェックインした部屋に、朝起きたらアベル一人しかいなかったのだ。ステラがどこに行ったのかはわからないが、亜鉛 サプリ闇雲に探し回ってすれ違う事態は避けたかった。
 階段を登ってくる足音がする。それに弾かれたように彼は立ち上がった。
「アベル!」
 扉が開くと共にアベルの待ち人は彼を呼んだ。そしてそのまま捲し立てるように話し出す。
「おかしいわ。前回はこんなことなかったの。あの飴が取り締まられるだなんて……」
「ステラ!」
亜鉛 サプリ アベルは険しい顔でその発言を遮った。そのまま部屋に入ってきた少女ーーステラの両肩を掴む。
「約束してくれ、ああいう怪しい薬には今後手を出さないと」
「え?」
 きょとん、と彼女はそのサファイアの瞳をまんまるくした。そのわかっていない様子にアベルは眉間に皺を寄せ、訴えかけるように説明する。
「今回はギリギリだった。下手したら捕まってたんだ」
「ありがとう。アベルのおかげで助かったわ」
 アベルはミモザに会った際にステラが検挙される危険性を感じ取っていた。そのため強制捜査の亜鉛直前にアベルは飴を持ち出すと粉々に砕き、地面に埋めていたのだ。
 捜査官が来る前に始末できたのはただ単に運が良かっただけだ。あとほんの数刻アベルの行動が遅ければ今頃ステラは逮捕されていたことだろう。
 その重大さがわかっていない様子の少女の態度に、アベルは苛立たしげに首を振った。
「俺も万能じゃない。常にかばってやれるわけじゃないんだ」
「ミモザのせいよ」
 ステラは迷いなく言う。
「前はこんなことなかったもの。あの飴を使ってたって警察が押しかけてくることなんてなかった。今確かめてきたけど、売っていたお兄さんも捕まっちゃったんですって。ただ販売していただけなのに……」
「ステラ!」
 アベルは首を振サプリメント マカる。
「それは犯罪行為だからだ。あれは使用を禁じられている魔薬で……」
「でも前回は大丈夫だったのよ?」
 何も伝わっていない様子で可愛らしく小首を傾げるステラに、
「前回なんて知らねぇよ!!」
 アベルはとうとう我慢できずに怒鳴ってしまった。アベルの顔が泣きそうに歪む。どうしたら伝わるのかがわからない。
「頼むから今を見てくれ! ステラ!!」
 ステラが黙り込む。はぁはぁと肩で息をするアベルの呼吸だけが室内に響いた。
「……どうしてわかってくれないの」
「ステラ……?」
 アベルの手を振り払って、ステラは彼を睨んだ。
 サファイアの瞳が怒りに輝く。
「前回はわたしのやる事は正しいって、そうあるべきだって、言ってくれたのに……っ」
「ステラ……」
 アベルは払われた手を見る。それをもう一度彼女に伸ばそうとして、躊躇した。
「それは誰なんだ? ステラ……」
「え?」クロム
 アベルはステラの目を見る。ステラもアベルの目を見た。彼の金色の瞳に涙の滴が溜まって落ちる。
「今の俺の話を聞いてくれよ……」
「………っ」
 ステラは踵を返して扉へと向かう。
「ステラっ!」
「来ないで……っ!!」
 強い拒絶の言葉に、アベルはその背中を追うことができなかった。

(どうして? どうしてよ!)
 ステラは走る。
(前回も今回も、どっちもアベルはアベルでしょ!?)
 理解できない。理解してもらえない。
(なのにどうしてあんなことを言うの……っ!!)
 息が苦しくなって、ステラは足を止めた。息を整えながら立ち尽くす。
 あたりはもうすっかり夜の闇に覆われていた。
 幸いにも祝福のおかげで周囲は問題なく見通すことができた。王都のはずれの方まで走ってきてしまったらしい。道の舗装は甘く、この先は森に続いているのか店もなく閑散としている。
「ミモザさん?」
 ふいに声が響いた。今一番聞きたくなかった名前で呼ばれて勢いよく振り返る。そこには、
「ジーンくん……」
 彼はそれがミモザではなくステラであることに気づゴーヤいて、声をかけてしまったことを後悔するように顔を歪めた。
「ステラさんでしたか。これは失礼を」
 そう言って彼が足早に立ち去ろうとするのを、
「待って!」
 ステラは呼び止めた。
「ジーンくん! ジーンくんはわかってくれるわよね? わたしのこと可愛いって、好きだって言ってくれたもんね?」
 ステラのそのすがるような呼びかけにジーンは答えない。その背中にステラはなおも話しかけ続ける。
「これ、買ってくれたネックレスつけてるの! ねぇ、ジーンくん……」
「僕は、貴方のお人形ではありませんよ」
 そこでやっと諦めたようにジーンは振り向いた。その表情は、険しい。
「……え?」
「他の人もそうです。貴方の望む答えを返すだけの人形じゃない。みんなそれぞれ考えがあって、大切なものがある。それを無理やり薬で歪めるような行為は最低です」
 黒い黒曜石の瞳が糾弾するようにステラのことをねめつける。その強さにステラはたじろいだ。
「ど、どうして……」
「どうして? わかるでしょう。貴方は騙し打ちで薬を盛られて許せるのですか?」
「それは、間違いを直そうと……」
「間違い? なんですかそれは?」
 ステラは必死に説得しようと言葉を紡いだ。
「前回と違ったから、同じにしようと思ったのよ。だって前回はそれで全ゴーヤ部うまくいったの。みんな幸せそうで……」
 そう、幸せだった。みんなステラのことを認めてくれて、好いてくれて、否定したりしなかった。思い出して思わず笑みが溢れる。それは蜜のように甘美な記憶だった。
「その『前回』というのが僕にはわかりませんが……」
 その回想を引き裂くように、ジーンはふぅ、とため息をつく。
「その『前回』とやらも、貴方が思っているほど良いものではなかったのではないですか?」
「……え?」
 見ると彼は冷めた目をしてステラを睨んでいた。
「『前回』も、貴方の独りよがりだったのではないですかね? 僕にはわかりませんが、しかし貴方のような自分の気持ちに固執される方が、誰かを幸せにできるとは僕には思えない」
「………っ!!」
 ステラは息を呑んだ。目の前が真っ赤に染まる。
 許せなかった。
 ステラの思いを、大切な思い出を汚された。怒りに頭が熱くなる。
「ニィー」
 ティアラが鳴く。
「そうね、ティアラ」
 ステラは頷いてティアラをレイピアへと変えた。
 ティアラは「思い通りにいかない奴は殺してしまおう」と言った。
 黒い塵がぶわりと吹き上がる。ステラとティアラの周囲がどす黒く染まる。
「ステラさん、貴方は……っ!」
 ジーンは引き攣った顔で守護精霊を剣に変えて構えた。
「わたしは間違ってないの」
 その瞳は、紅く紅く染まっていた。
「間違っているのは、この世界の方よ」
 氷の破片を次々と放つ。ジーンはそれを土の壁で防いだ。しかし無駄だ。
 そゴーヤ チャンプルーうしている間に、光の弾のチャージが終わる。
 光線銃の光の帯が、土の壁を消し飛ばした。すかさずステラは氷を放つ。
「………くっ!」
「わたしが直すわ!」
 地面が盛り上がりステラに襲いかかる。しかしそれをステラはすべて凍らせた。ジーンが驚いたように目を見開く。
(何を驚いているのかしら?)
 それにステラは首を傾げる。彼女は一度受けた攻撃を忘れたりしない。二度も同じ手に引っかかるほど馬鹿でも間抜けでもない。
 光のチャージが終わる。
「しま……っ!」
 驚いて、隙を見せたのがジーンの敗因だ。
 光の帯はジーンの剣を弾き飛ばした。その衝撃で彼自身の身体も吹き飛ばされ、地面にもんどりうつ。
「…………」
 ステラはレイピアを握ったまま、ゆっくりとジーンへと近づいた。どうやら気絶しているようだ。
 彼に触ろうとして、ふと、彼女は何かに気づいた。
 少しの間の後、その唇が笑みに吊り上がる。
「……ふ、ふふ、ふふふふふふ」
 それは天啓だった。自らに宿った新たな力に、ステラは歓喜する。
「ほらやっぱり、わたしは間違ってなかった」
 レイピアの姿のまま、ティアラはそれに同意した。
dhaサプリメント マカクロム亜鉛

「奇妙な事dha epa dha

「奇妙な事件が起きています」
 そう重々しく告げたのはオルタンシア教皇聖下だった亜鉛 の サプリ。彼は執務机に肘をおマカ と はき、ふぅ、と疲れたように息を吐く。
 その場にはオルタンシアを除くと4人の人間がそろっていた。
 ミモザとレオンハルト、そして教会騎士団団長のガブリエル。
クロムの効能 そして最後の1人は渦中の人であるジーンの師匠、フレイヤである。
 彼女はわずかに怒りを滲ませた瞳でオルタンシアの言葉を聞いていた。その目は吊り上がり己の感情を体の内に必死に押し留めているのであろうことが窺える。怒りが彼女の生来の美しさをさらに苛烈なものにしていた。
「もうお聞きおよびかとは思いますが、改めて簡単に亜鉛 の サプリ説明を。一言で言えば精神汚染が起きているようです」
 ここ最近、人格が入れ替わったように変わるという異変が立て続けに起こっていた。穏やかだったのに気性が激しくなったり、逆に精力的な人だったのが無気力になったりという具合にだ。けれどその件の特筆すべきはある共通点である。
「ある人間に異常に傾倒、あるいは恋慕するようになるとのことです」
 それも、今まで見向きもしなかったような相手に対してそのようになることが多いという。さらに詳しく言えばこれまでに振った相手や自身のストーカーなど、今まで一方的に思いを寄せてきていた相手に何故か一転して執着するようになるアントシアニンらしい。
「これは、あれですね」
 ガブリエルは真面目腐った顔で頷く。
「あれでしょうねぇ」
 オルタンシアは困り果てたように頷いた。
「あれですか」
 フレイヤは不愉快そうだ。
「あれか」
 レオンハルトは呆れたようにため息をついた。
「あれってなんですか?」
 唯一わからなかったミモザが挙手した。
 みんなが一斉にそんなミモザを見る。
(いや、常識のように言われても……)
 わからないものはわからないし、知らないものは知らないのである。
「これがジェネレーションギャッ、」
「ミモザ」
 レオンハルトにデコピンを喰らわせられてミモザは口を閉ざした。
 むぅ、とうなるミモザをスルーして、オルタンシアは「実は最近密売事件も起きてまクロムして……」と言葉を続ける。
「どうやらとある薬を売り捌いている怪しげな人物が出没するのだそうです」
「とある薬?」
 再び懲りずに声を上げるミモザに、オルタンシアは淡々と机の上に小さな袋をひょいと置いた。
 透明な袋に入ったそれは、
「……飴?」
 にしか見えなかった。赤やピンク、オレンジに黄色といった可愛らしい色合いのハートの形をした飴である。
(あれ、これどこかで……)
 思い出そうとするミモザの思考を遮って
「名付けて、ラブドロップだそうです」
 オルタンシアが答えをくれた。
 その名称にミモザは思い出す。これはーー
(好感度上昇アイテムだ)
 ゲームの中では攻略対象者の好感度を上げるために会話の選択肢やデート、そしてそのキャラの好きな貢ぎ物をあげるという方法があるのだが、その中で怪しい商人から買えるチートアイテムがある。
 それがラブドロップ。その名の通り好感度を爆上げするアイテムである。
 お値段はそクロムの効能れなりに張るのだが、それだけあって効果はてきめんである。他の要素を進めるために好感度を上げるのを怠っていたプレイヤーはよく使用するアイテムだ。
(……ってことは、つまり)
 無理矢理薬で好感度を上げられたことによる精神汚染事件が起きているということである。
「ネーミングセンス最悪っすね」
「馬鹿がつけたんだろう」
 ガブリエルとレオンハルトが容赦なくその名前をこき下ろした。 
「私が決めたわけではなく、そういう商品名のようでしてね」
 オルタンシアは気まずげにごほん、と咳払いをすると「まぁ、古くは『恋の妙薬』という名前で取引されていた魔薬です」と説明を付け加えた。
「実際に見たことのある人は少ないでしょうが、名前だけは聞いたことがあるでしょう。大昔に開発されてその危険性から規制の対象となり、今ではその製法を記した本は禁書として王族の管理する車庫に封印された劇薬ですよ」
 ミモザははい、と手を挙げる。
「はい、ミモザくん」
 オルタンシアが指名した。
「その書庫に入れる人の仕業でしょうか?」
 それにオルタンシアは首を横に振る。
「少し考えづらいですね。王室書庫の、しかも禁書庫に入クロムの効能れるのは王族に連なる方々でも一部の方と、それから教会の代表者として私だけです。王族の方々がこのような事件を起こすメリットがありません。もちろん私も同様、手間がかかるだけでなんのメリットもありません」
 確かになぁ、とミモザは思う。第一、一番に疑われる羽目になるのにそれを堂々とばら撒くとも考えにくい。
「おそらくですが、大昔はその製法が広く普及していましたから、こっそりとそれを伝えていた方がいたのでしょう。はぁ、まったく、頭の痛い話です」
 少し考えてからミモザはもう一度挙手した。
「はぁ、どうぞ、ミモザくん」
「副作用はありますか?」
 やる気なく指名したオルタンシアはその質問に「おや」と声を上げた。
「とても良い質問ですね。元来魔薬というのは副作用のない薬として開発されたものです」
「じゃあ……」
「ですが」副作用がないのか、と納得しかけたミモザにオルタンシアは告げる。
「よく効く薬というのは毒にもなりえます」
「つまり?」
「つまり、分量を誤れば効きすぎによる弊害が起きます。この薬の場合は常に相手に恋している状態を作り出すわけですから、恋は盲目というでしょう。相手に盲目になりすぎるあまり、依存関係へと陥り最終的には相手以外の全てがどうでもよくなります。具体的に言うと過去流行した時には心中事件が多発しました」
 なんと、ヤンデレ量産薬だった。
 その時そのやりとりを黙アントシアニンって聞いていたガブリエルがにやにやと口を開いた。
「あれぇ? そんなこと聞くってことはぁ、ミモザちゃんってば飲ませたい相手がいたりしてー」
 茶々を入れるガブリエルのことをレオンハルトが睨みつける。彼が何か言うよりも先にミモザは「そうですねぇ」と思案するように口を開いた。
「ミモザ?」
 師匠の訝しげな声を尻目にミモザは考え考え話す。
「これをうまく使えば痴情のもつれで起きる事件を防げたり、子どもの出生率をコントロールしたり、あと過去の事例で兵士同士が恋に落ちるとすごく強くなるという話を聞いたことがあったのでいいかと思ったんですが……。ちょうどいい用法容量を守っても問題が起きるものなんですか?」
 ミモザの言葉を聞いてレオンハルトはあからさまに顔をしかめた。
「……薬で得られる愛情に価値があるのか? 考えるだけで気色が悪いな」
 そのまま吐き捨てるように言う。その言い様にミモザはむっと口を尖らせる。
「……レオン様は案外ロマンチストですよね」
「……君は大概情緒の未発達なお子様だ。だからそんなふうに他人事のように平然と理屈をこねられる」
 不機嫌そうに言い返された言葉にミモザは驚く。
「レオン様にとっては他人事ではないのですか?」
「…………」
 レオンハルトは黙り込んだ。そして微妙な顔をしてミモザのことを見つめる彼の肩を何故だかガブリエルとフレイヤの2人は同情するように両側からぽんと叩いた。
「……まあ、そもそもちょうど良い用法など知ってる人間はいないでしょうね」
 その微妙な空気をリセットするようにオルタンシアが口を開く。
「え?」
 驚いて振り返るミモザに彼は呆れたように肩をすくめてみせた。
「まさマカか人体実験するわけにもいかないでしょう」
「あー……」
「それに魔薬は本当に扱いが難しいのです。管理する温度や使用する者の体質によって大きく効き目が変わる。コントロールは困難だと思いますよ」
「じゃあ有効活用は無理なんですね」
「そもそもそんな危険な劇薬を有効に使おうとするな」
 なんとか気を取り直したレオンハルトが叱責するようにミモザの額に再びデコピンを食らわす。その威力に「ううっ」とうめいていると、それを白けた目で眺めながらオルタンシアが告げた。
「まぁ、有効活用できるくらいなら規制して封印したりしませんよね」
 ごもっともだなぁ、とミモザは頷いた。
マカdha epaアントシアニンの効果ゴーヤ

「ミモザ、どう亜鉛 サプリ

「ミモザ、どうしてこんなことをするの?」
 悲クロムの効能痛な表情でステラはそう叫んだ。視線の先には瓜二つの少亜鉛の効果女がいる。しかしその顔はステラとは違いどこか硬質で人を見下すような冷たい目をしていた。
 その瞳は、紅色に染まっている。
「どうして?本当にわからないの?」
 彼女は呆れたように首を振った。
「何度も言ったのに!何ゴーヤ度も何度も何度も何度も!お姉ちゃん!貴方はやり過ぎたの!!」
「やり過ぎたって、一体何をっ」
「僕が間違ってるって思ってるんでしょ、自分は正しいと思ってる!」
 ミモザは涙をはらはらと流しながら笑った。
「だから僕の言うことを無視するんでしょ?」
「無視なんてしてないわ、ミモザ!お願い!お姉ちゃんの話を聞いて!!」
 ミモザは首を振る。何度も、何度も。
「……もう遅いよ」
「ミマカ サプリモザ?」
「お姉ちゃん、あのね、……っ!?」
 そう言った瞬間、ミモザの口から血が溢れ出た。
「ミモザ!!」
「なん、で……?」
 その瞳は驚きと焦燥で満ちている。彼女が地面に倒れ伏すと鮮血は口からだけでなく、背中からも流れていることがわかった。
 背後から切り付けられたのだ。
 ステラ達は辺りを見渡したがどこにも人影はない。
「ああ」とミモザは絶望の吐息を溢した。
「貴方も、僕を切り捨てるのですね、……様」
「ミモザ!?ミモザ!!」
 ステラが駆け寄り体を抱えるが、その体はもう熱を失い始め、意識は消えていた。
 ぱたり、とミモザの腕は地面へと落ちた。

 そこでミモザはガバマカ サプリッと布団から跳ね起きた。
「え、し、死んだっ!」
 いや、正確には死んでいないが。
 死んだのはゲームの中の『ミモザ』だ。
(思ったより意味深な死に方してたな)
 てっきりもっとこう、悪いことしやがってー、うりゃあ、サクッ、みたいなあっさりした死に方かと思っていた。
「っていうかもしかして黒幕みたいのがいる?」
 思わずチロに確認すると、チロも夢を共有していたのだろう、もっともらしく頷く。
「チチッ」
 殺意高めの相棒が、誰だか分かり次第殺してやろうぜ、と言ってくるのはいつものことなので今は横に置いておく。
(一体誰に『ミモザ』は殺されたのだろうか?)
 いつも肝心なところがわからない。しかしゲームのミモザは何者かに裏切られた様子だった。つまり、ミモザには仲間がいたのマカ と はだ。
(何繋がりの仲間かはわからないけど)
 ゲームのミモザの行動を可能な限り思い起こしてみる。
 ミモザは嫌がらせキャラだ。そのミモザの仲間ということは、つまり主人公達の行動をよく思っていない人間が他にもいたということになる。
 しかしミモザの嫌がらせを思い起こしてみても、正直いまいちピンとこない。
 ミモザの嫌がらせは最初は学校の卒業試合でステラに敗北し、それに対して嫌味を言うところから始まる。そこから道中でステラ達に対し「そんなに野良精霊をたくさん狩るなんて酷い」とかいちゃもんをつけてステラから魔導石を奪ってみたり、試練の塔に着いた際に「そんなんじゃ中には入れられない」などと言って喧嘩をふっかけてきたりする。
 正直序盤の嫌がらせなど大した行為ではない。後半になるほど戦いを挑んでくる回数こそ増えるが、ミモザは雑魚キャラなので経験値稼ぎ要員として扱われていたように思う。
 うーん、とミモザはサプリメント マカ首を捻った。
「もしかして僕って重要人物だったり?」
 言ってみただけだ。
 チロはさぁ?というように首を傾げてみせた。
クロムの効能マカ