宿屋のベッドdha epa dha

 宿屋のベッドに腰掛けて、アベルは待っていたマカ サプリ
亜鉛 サプリ 先日の強制捜査の後、二人はさらに郊外の宿屋へと場所を移していた。昨夜チェックインした部屋に、朝起きたらアベル一人しかいなかったのだ。ステラがどこに行ったのかはわからないが、闇雲に探し回っアントシアニンてすれ違う事態は避けたかった。
 階段を登ってくる足音がする。それに弾かれたように彼は立ち上がった。
「アベル!」
 扉が開くと共にアベルの待ち人は彼を呼んだ。そしてそのまま捲し立てるように話し出す。
「おかしいわ。前回はこんなことなかったの。あの飴が取り締まられるだなんて……」
「ステラ!」
 アベルは険しい顔クロムの効能でその発言を遮った。そのまま部屋に入ってきた少女ーーステラの両肩を掴む。
「約束してくれ、ああいう怪しい薬には今後手を出さないと」
「え?」
 きょとん、と彼女はそのサファイアの瞳をまんまるくした。そのわかっていない様子にアベルは眉間に皺を寄せ、訴えかけるように説明する。
「今回はギリギリだった。下手したら捕まってたんだ」
「ありがとう。アベルのおかげで助かったわ」
 アベルはミモザに会った際にステラが検挙される危険性を感じ取っていた。そのため強制捜査の直前にアベルは飴を持ち出すと粉々に砕きマカ と は、地面に埋めていたのだ。
 捜査官が来る前に始末できたのはただ単に運が良かっただけだ。あとほんの数刻アベルの行動が遅ければ今頃ステラは逮捕されていたことだろう。
 その重大さがわかっていない様子の少女の態度に、アベルは苛立たしげに首を振った。
「俺も万能じゃない。常にかばってやれるわけじゃないんだ」
「ミモザのせいよ」
 ステラは迷いなく言う。
「前はこんなことなかったもの。あの飴を使ってたって警察が押しかけてくることなんてなかった。今確かめてきたけど、売っていたお兄さんも捕まっちゃったんですって。ただ販売していただけなのに……」
「ステラ!」
 アベルは首を振る。
「それは犯罪行為だからだ。あれは使用を禁じられている魔薬で……」
「でも前回は大丈夫だったのよ?」
 何も伝わっていない様子で可愛らしく小亜鉛 サプリ首を傾げるステラに、
「前回なんて知らねぇよ!!」
 アベルはとうとう我慢できずに怒鳴ってしまった。アベルの顔が泣きそうに歪む。どうしたら伝わるのかがわからない。
「頼むから今を見てくれ! ステラ!!」
 ステラが黙り込む。はぁはぁと肩で息をするアベルの呼吸だけが室内に響いた。
「……どうしてわかってくれないの」
「ステラ……?」
 アベルの手を振り払って、ステラは彼を睨んだ。
 サファイアの瞳が怒りに輝く。
「前回はわたしのやる事は正しいって、そうあるべきだって、言ってくれたのに……っ」
「ステラ……」
 アベルは払われた手を見る。それをもう一度彼女に伸ばそうとして、躊躇した。
「それは誰なんだ? ステラ……」
「え?」
 アベルはステラの目を見る。ステラもアベルの目を見た。彼の金色の瞳に涙の滴が溜まって落ちる。
「今の俺の話を聞いてくれよ……」
「………っ」
 ステラは踵を返して扉へと向かう。
「ステラっ!」
「来マカ サプリないで……っ!!」
 強い拒絶の言葉に、アベルはその背中を追うことができなかった。

(どうして? どうしてよ!)
 ステラは走る。
(前回も今回も、どっちもアベルはアベルでしょ!?)
 理解できない。理解してもらえない。
(なのにどうしてあんなことを言うの……っ!!)
 息が苦しくなって、ステラは足を止めた。息を整えながら立ち尽くす。
 あたりはもうすっかり夜の闇に覆われていた。
 幸いにも祝福のおかげで周囲は問題なく見通すことができた。王都のはずれの方まで走ってきてしまったらしい。道の舗装は甘く、この先は森に続いているのか店もなく閑散としている。
「ミモザさん?」
 ふいに声が響いた。今一番聞きたくなかった名前で呼ばれて勢いよく振り返る。そこには、
「ジーンくん……」
 彼はそれがミモザではなくステラであることに気づいて、声をかけてしまったことを後悔するように顔を歪めた。
「ステラさんでしたか。これは失礼を」
 そう言って彼が足早に立ち去ろうとするのを、
「待って!」
 ステラは呼び止めた。
「ジーンくん! ジーンくんはわかってくれるわよね? わたしのこと可愛いって、好dha epa dhaきだって言ってくれたもんね?」
 ステラのそのすがるような呼びかけにジーンは答えない。その背中にステラはなおも話しかけ続ける。
「これ、買ってくれたネックレスつけてるの! ねぇ、ジーンくん……」
「僕は、貴方のお人形ではありませんよ」
 そこでやっと諦めたようにジーンは振り向いた。その表情は、険しい。
「……え?」
「他の人もそうです。貴方の望む答えを返すだけの人形じゃない。みんなそれぞれ考えがあって、大切なものがある。それを無理やり薬で歪めるような行為は最低です」
 黒い黒曜石の瞳が糾弾するようにステラのことをねめつける。その強さにステラはたじろいだ。
「ど、どうして……」
「どうして? わかるでしょう。貴方は騙し打ちで薬を盛られて許せるのですか?」
「それは、間違いを直そうと……」
「間違い? なんですかそれは?」
 ステラは必死に説得しようと言葉を紡いだ。
「前回と違ったから、同じにしようと思ったのよ。だって前回はそれで全部うまくいったの。みんな幸せそうで……」
 そう、幸せだった。みんなステラのことを認めてくれて、好いてくれて、否定したりしなかった。思い出して思わず笑みが溢れる。それは蜜のように甘美な記憶だった。
「その『前回』というのが僕にはわかりませんが……」
 その回想を引き裂くように、ジーンはふぅ、とため息を亜鉛 サプリつく。
「その『前回』とやらも、貴方が思っているほど良いものではなかったのではないですか?」
「……え?」
 見ると彼は冷めた目をしてステラを睨んでいた。
「『前回』も、貴方の独りよがりだったのではないですかね? 僕にはわかりませんが、しかし貴方のような自分の気持ちに固執される方が、誰かを幸せにできるとは僕には思えない」
「………っ!!」
 ステラは息を呑んだ。目の前が真っ赤に染まる。
 許せなかった。
 ステラの思いを、大切な思い出を汚された。怒りに頭が熱くなる。
「ニィー」
 ティアラが鳴く。
「そうね、ティアラ」
 ステラは頷いてティアラをレイピアへと変えた。
 ティアラは「思い通りにいかない奴は殺してしまおう」と言った。
 黒い塵がぶわりと吹き上がる。ステラとティアラの周囲がどす黒く染まる。
「ステラさん、貴方は……っ!」
 ジーンは引き攣った顔で守護精霊を剣に変えて構えた。
「わたしは間違ってないの」
 その瞳は、紅く紅く染まっていた。
「間違っているのは、この世界の方よ」
 氷の破片を次々と放つ。ジーンはそれを土の壁で防いだ。しかし無駄だ。
 そうしている間に、光の弾のチャージが終わる。
 光線銃の光の帯が、土の壁を消し飛ばした。すかさずステラは氷を放つ。
「………くっ!」
「わたしが直すわ!」
 地面が盛り上がりステラに襲いかかる。しかしそれをステラはすべて凍らせた。ジーンが驚いたように目を見開く。
(何を驚いているのかしら?)
 それにステポリ ペプチドラは首を傾げる。彼女は一度受けた攻撃を忘れたりしない。二度も同じ手に引っかかるほど馬鹿でも間抜けでもない。
 光のチャージが終わる。
「しま……っ!」
 驚いて、隙を見せたのがジーンの敗因だ。
 光の帯はジーンの剣を弾き飛ばした。その衝撃で彼自身の身体も吹き飛ばされ、地面にもんどりうつ。
「…………」
 ステラはレイピアを握ったまま、ゆっくりとジーンへと近づいた。どうやら気絶しているようだ。
 彼に触ろうとして、ふと、彼女は何かに気づいた。
 少しの間の後、その唇が笑みに吊り上がる。
「……ふ、ふふ、ふふふふふふ」
 それは天啓だった。自らに宿った新たな力に、ステラは歓喜する。
「ほらやっぱり、わたしは間違ってなかった」
 レイピアの姿のまま、ティアラはそれに同意した。
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「仕事だ、つ亜鉛

「仕事だ、ついて来い」と簡潔に言われてほいほいついて行った先が王宮だっクロムた。
 おかしいとは思ったのだ。えらい身綺麗にされて化亜鉛 の サプリ粧をほどこされドレスを着せられたから。
「え、なん、なんですか?」と若干怯えて尋ねるミモザにレオンハルトは真顔で言った。
「害虫退治だ」
「それってゴ……」
「その名は口にするな」
 実はゴから始まる4文字の虫が大の苦手なレオンdha epaハルトである。あれはいつのことだっただろうか。いつものようにミモザが王都に滞在した夜、屋敷に出現した例の虫の姿を見つけて、ミモザは初めて自分の師匠が逃げ出す姿を見た。ちなみにその時はミモザが退治した。
 レオンハルトはごほん、と一つ咳払いをすると、
「その虫じゃない方だ。まぁ、行けばわかる」
「はぁ」
 クロムの効能まぁ虫なら得意だから別にいいか、と安易に考えたのがつい先ほどの話である。

 現在ミモザは王都のレオンハルト邸で厄介になっている。これは何もミモザに限ったことではなく、塔の試練に挑むほとんどの者が王都に滞在することになるのだ。なぜかというと7つの塔は王都を取り囲むようにして存在しているため、王都に滞在するのが攻略に効率的だからだ。
 王都には塔の試練に挑む者限定の宿屋まで存在するほどである。試練に挑むことを推奨する国が支援金を出しているため、他の宿屋よりも安く泊まれたりする。もちろんいつまでもマカ サプリ試練に挑んでいるのだといって居座られては困るため、割引は一年間のみという制限はある。ミモザも宿屋に泊まろうか迷ったのだが、レオンハルトに頼みたい仕事もあるからと誘われたのでご厚意に甘えさせてもらうことになった。
 そしてその滞在初日の仕事がこれである。
(ちょっとよくわからない)
 きょろきょろするとレオンハルトに行儀が悪いと叱られるので必死に平静を装う。しかし内心はいまだに混乱中だ。
「ええと、レオン様、虫は……?」
「今追い払われたから問題ない。そのまま虫除けをしていろ」
「はぁ……」
 しれっと返された言葉は相変わらず要領を得ない。意味がわかっていないミモザに、レオンハルトは意地の悪い笑みを浮かべた。
「君の外見はいいな。虫除けにぴったりだ」
「あー……」
 そこまで言われてやっとミゴーヤ チャンプルーモザも察する。周囲をちらりと見ると若い女性陣はひそひそと何事かを話し合っているが近づいては来なかった。
「かえって余計な刺激をしてしまうのでは?」
 その中に鬼の形相でこちらを睨む女性を2人ほど見つけ、訊ねるミモザを彼は鼻で笑った。
「君の容姿を見て挑む度胸のある女性は稀だ。よほど自分の容姿やそれ以外に自信がなくてはそんな真似できないだろう」
 まぁ確かに、とミモザは頷く。自分の容姿が優れている自覚はあった。何せ主人公と瓜二つの顔である。良くないわけがない。
 こればかりは感謝せざるを得ない。これで容姿まで正反対でミモザだけ不細工であったら本気で立ち直れる気がしない。製作者からの温情か、キャラデザをサボっただけかはわからないが、なにはともあれありがたい話である。
「まぁつっかかって来そうなのもいるが、死にはしないさ」
「死なない程度の目には合うんですか?」
 ミモザの質問にレオンハルトは答えず肩をすくめたdha epa dha
「たいした派手なご登場だなぁ」
 その時、聞いたことのある声に話しかけられた。振り向くとそこに立っていたのはガブリエルであった。
 彼も今日は制服ではない正装をしており、ブラウンの髪を後ろに撫で付けて伊達男っぷりに磨きがかかっている。黒のスーツの胸元には赤い薔薇が飾られていた。
「オルタンシア様は?」
「あっち」
 彼はレオンハルトの問いに簡潔に答える。そこには誰かと談笑しているオルタンシア教皇の姿があった。彼はさすがにいつもの法衣を身にまとっている。
 あたりを落ち着いて見回すとフレイヤとジーンの姿もあった。彼女達もいつもの制服ではなくパーティー仕様で、フレイヤは真っ赤なドレスに身を包んでいる。
(今頃お姉ちゃん達は宿屋だろうか)
 きらびやかな世界を眺めながらぼんやりと思う。若干自分は今何をしているのだろうと疑問には思うが、ゲームのストーリー通りに進んでいるのなら今日は特にすることはないはずだ。
 今日はゲームで言うと旅立ちの日だ。ショートカットして道なき道をきたミモザとは違い、ステラは街道を進んで王都まで来たはずである。つまり倍以上の時間をかけて今頃王都に亜鉛 の サプリついたのではないだろうか。まぁ、ヒッチハイクや乗り合い馬車に乗るなどをすれば14時間よりは短い時間で王都には辿り着けるだろう。確かチュートリアルボスとの戦闘もその途中にあったはずだ。まだ仲間として選択できるのはアベルだけのはずなのでアベルと2人で行動しているのだろう。
(確か次の攻略対象との遭遇は王都での買い物中だったか)
 ゲームのシステムは午前と午後の行動を大雑把に選択できるというもので、買い物にいけばそれだけで午前中は潰れる。そして最初はチュートリアルとして装備を整えるために午前中に買い物に行かされるはずだ。つまり明日の午前中にその攻略対象と出会うはずである。あまりどういった人物だったか思い出せないが、確か『知り合いと間違えて声をかけてしまった』というベタな出会い方だった気がする。 
(つまり明日の午前中に僕は第1の塔に行けば鉢合わせずに済む)
 明日は朝早くに家を出よう、と考えていると、その思考を引き裂くように荘厳な演奏が始まった。
 ぎょっとして顔を上げる。
「本日のメインのご登場だな」
 ガブリエルが囁いた。
「メイン?」
「決まってるだろ?第一王子殿下さ」
 彼は陽気にウインクをして見せた。
アントシアニン亜鉛亜鉛亜鉛 サプリ おすすめ

 さて、この世界dha

 さて、この世界にはゴーヤ野良精霊というものが存在する。ゴーヤ
 ゲーム上では雑魚敵として冒険の途中でエンカウントする相手であり、その発生理由については語られないが、こいつらは実は人間が生み出した存在であったりする。
 精霊というのは人と共に生まれる。
 これはこの世亜鉛 サプリ界の常識である。
 ではなぜ野良精霊という人と繋がっていない精霊が存在するのかというと、彼らは元々人と共にあったのが様々な理由でその接続が切れてしまった存在である。
 もちろん、人と精霊の繋がりというのはそんなに簡単に途切れるものではない。
 事故なども稀にあるが、そのほとんどは人為的な行為により切断される。
 一番多い理由はより強い精霊と接続するために自身の精霊を捨てて他人の守護精霊を奪うというdhaもので、捨てられた精霊同士が自然交配し繁殖したのが野良精霊達だ。そのためその多くはとても弱く、大した力は持たない。
 しかし稀に突然変異でとても強い個体が生まれることがあり、それはボス精霊と呼ばれるのだが、そのボス精霊を自身の守護精霊とするために元々共に生まれた精霊を捨てる者も現れるという悪循環が起こっていた。
 国も教会も守護精霊を交換することや野に捨てる行為は禁じているが、取り締まりきれていないのが現状である。
 そしてもう一つ、彼ら野良精霊が雑魚である理由があった。
「ああ、いたいた」
 ミモザは草むらをかき分けながら森の中亜鉛の効果を歩いていた。視線の先にはうさぎにツノが生えた姿の野良精霊がいる。
 ひたすら生暖かい目で微笑む母親に昼食をふるまった後、仕事に戻る母を見送ってからミモザは森へと来ていた。
 ミモザ達の住むバーベナ村は森に四方を囲まれている利便性の悪いど田舎だ。そのため少し歩けばすぐに森へと辿り着く。
 森には大雑把に目印の杭が打ち込まれており、通常10歳前後の学校を卒業していない子どもはその杭よりも先に入ることを禁じられている。しかし今のミモザはその杭を通り越して森の奥深くへと足を踏み入れていた。
 当然、バレたら叱られる。
 しかし今は大人に叱られること以上に気にしなければいけないことがあった。
「ゲームの開始は学校を卒業する15歳からだ」
 じっと草葉の影から草をはむ野良精霊の姿を見ながらミモザはdhaチロへと話しかける。
「つまりそれまでに僕達はお姉ちゃんより強くなっている必要がある。それも大幅に、だ」
「チィー」
 チロもその方針には賛成のようだ。その同意に満足げにミモザは頷く。
「じゃあどうやって強くなるか。手っ取り早いのはもちろん、実際に戦ってレベルを上げることだ」
 とはいえ、ミモザもチロも野良精霊との戦闘などしたことがない。一応学校では戦闘技術の授業があったが、ミモザの成績は底辺を這っている始末であった。
(つまり、ここは不意打ちに限る)
 卑怯だなどと言うなかれ。これは命のかかったことなのである。
 ミモザはチロへと右手を伸ばした。チロは心得たように頷く。
 それと同時にその姿が歪み、形を変えた。
 それは武器だった。細く長い金属の持ち手に先の方に棘が何本も突き出た鉄球が付いている。いわゆるモーニングスターメイスと呼ばれる棍棒である。槌矛と呼ばれることもある叩き亜鉛 サプリ おすすめ潰すことに特化した打撃武器だ。
 これが守護精霊と野良精霊の一番の違い。
 人と繋がっている精霊はその姿を武器へと変じることができるのだ。これは昔は出来なかったのが徐々に人が望む姿に適応するようになり、そのような変化ができるように進化していったのだと言われている。
(やっぱり棘が生えている)
 チロの変化した姿を見てミモザは眉を顰めた。
 ゲームでのチロは序盤はただのメイスである。つまり棘の生えていない鉄球が先端に付いているだけのただの巨大な槌だ。しかしゲームの半ば頃より狂化が始まり今のような棘の無数に生えたモーニングスターメイスへと姿を変えるのだ。
 つまりやはりゲームよりも早く狂化してしまっているのだ。
 一度狂化してしまった者は進行することはあれど正常に戻ることはない、と言われている。
(うーん、まぁいいか)
 本当はそんなに軽く済ませていい問題ではなく狂化した個体は取り締まりの対象なのだが、ミモザの場合は早いか遅いかの違いで正直狂化しない選択肢を選べる気がしなかった以上諦めるしかない。
 一応ゲクロムーム上では侮られ過ぎてなのか何故なのか、ミモザの狂化は主人公達以外にはバレてなかったように思う。
 チロも小さい精霊のため普段はなるべくポケットなどに隠しておけばなんとかなるだろう。
 さて、とミモザは野良精霊を見る。先ほどまで横を向いていた野良精霊は、少し移動してちょうどこちらに背中を向けていた。
(君に恨みはないがごめんよ)
 ミモザはチロを両手に持って大きく振りかぶると、
「僕たちの礎となってくれ」
 野良精霊へと向けて一気に振り下ろした。
 血飛沫が舞った。
マカ と はマカ と はクロムの効能

「保護研究会亜鉛 の サプリ

「保護研究会というポリ ペプチドのはマカ サプリそもそも何なんですか?」
 エオとロランに遭遇したミモザは今、
「元々はボクのご先祖であるハナコが設立した研究者の集まりだよ」
 三人で鍋を囲んでいた。
 理由は単純にお腹が空いていたからである。体力をつけるために鍋をするというエオ達に誘われたのでゴーヤご相伴にあずかることにしたのだ。
「当時のこの塔は今以上に謎に包まれていてね。女神教も入り込んでいなくて、なんとなく畏れおおい入ってはいけない場所、という感じの聖域だった。それをハナコが人の役に立てるために塔の内部を研究し始めたのが保護研究会の始まりだよ」
「今ではテロリスト集団と思われていますが」
「うふふ、それも間違いではないね」
 エオはこともゴーヤ チャンプルーなげに肯定する。ミモザは大根をかじった。
「所詮は研究者の集まりだ。人のためというのは建前で知的好奇心を満たすのが第一の集団なのさ。だから魔薬というものを生み出して大事件を起こしてしまった」
「え」
「その一件で保護研究会にはテロリストのイメージがつき、我々の失墜と共に教会が塔の管理の実権を握るようになったのさ」
 まぁ、いろいろな要素が重なったのさ、と彼は言う。
「そして保護研究会にはそれをわざわざ弁明しようという人間もいなくてね」
「……花子様は?」
「特に他人からの評判には興味がなかったみたいだね。放置してたようだよ亜鉛
「……………」
「まぁ実際に研究のためなら暴力もじさない人間も多く所属しているから間違いではないしね」
「マッドサイエンティストの集団か……」
 テロリストのほうが共通の目的意識があるだけまだ対策を取りやすいのかも知れない。
 エオが最初に『仲間意識が薄い』と言ったのは嘘ではなさそうだ。要するに協調性のない人間の集まりだと言うことだろう。
「でも何故みんな保護研究会に所属しているんですか?」
 興味がないならわざわざ悪いイメージの組織に入らなくてもいいだろうに、とミモザは思う。それに彼は「研究費用と環境のためだね」とあっさり返した。
「イメージ悪くても歴史と実績はあるからね。これまで所属してきた研究者達の集めた文献やレポートが所蔵されているし、貴族の中には研究成果が欲しいがためにマカこっそり寄付金を提供してくれる人もいるし」
「なるほどー」
 なんとも合理的な話だ。
「貴方の研究テーマは何なんですか?」
 ミモザは尋ねる。それに彼は煮えた卵を頬張りながら「不老不死」とあっさり告げた。
「不老不死……」
 確かバーナードも言っていた。
「今実現可能なのは魂を別の肉体に移すというものだけでね、そうじゃなくて肉体が滅びない方法を探しているんだ」
「魂は移す方法はあるんですか?」
「魂を移す方法は確立しているね」
「………物騒な話ですね」
「そうかな?」
「そうですよ」
 ミモザはうんざりと頷く。
「だって肉体ハイジャックができると言うことでしょう」
「肉体ハイジャックか。わかりやすくていい表現だね」
 エオはうむうむと満足そうだ。
「しかしそんなに簡単でもない。肉体には相性があって誰のものでも良いわけじゃないからね」
「どういうことです?」
「相性が悪いと魂が定着しなくてね。あとは定着しても記憶が崩れてしまうことがあマカる」
 ミモザは少し考える。
「貴方の言う『魂』がもしも記憶だとしたら、それって不老不死とはちょっと違いそうですね?」
「うん?」
「肉体は他人、ということは、そこに記憶を移し替えても性格までは変わらないんじゃないでしょうか」
 例えば、前世の記憶があってもミモザはミモザのままであると思っているように。
「性格まで移せないのであれば、それはただの知識の伝授でしかないのでは? それとも人格まで移せるということですか?」
「それは難しい問題だね。なにせ移したのが記憶だけなのか人格そのものなのかを立証する術はないからね」
 エオは鍋の中を目当ての食材を探すように覗き込む。
「けれど例え移せるのが記憶だけだったとしても、その強い思いは残るんだよ」
 再び卵を拾って、エオは笑った。
「思いが残れば、それはある意味永遠ではないかな」
「段々とロマンチシズムの話になってきましたね」
「まぁ、不老不死なんてロマンだからね」
「研究者なのに?」
「研究なんてロマンがないとやってられないよ。今の技術ではできないことを実現するために研究してるんだから」
「なるほど」
 ミモザにとっては途方もない話に思える。確かにロマンを感じていなければ途中で挫けてポリ ペプチドしまいそうだ。
「まぁ、ボクの話はともかくとしてね」
 彼はシメのラーメンを放り込んで煮込む。水泳で冷えてしまった体にはありがたい食事である。
「聖剣の話なんだけど、元々剣があった異空間はどこにあるんだい?」
「もうありません」
 煮えた大根を鍋からよそいながらミモザは堂々と嘘をついた。
 何も馬鹿正直に話して彼らに面倒な逃亡先を提供するいわれはミモザにはない。
「聖剣が壊れると同時に消失してしまいました。なので僕は今ここに居るのです」
「……なるほどね」
 意外にもエオは納得したようだ。
「君に聖剣の力が宿っている様子もないし、見たところこの剣も本当にダメになってしまっている。……君に力が宿っていればぶんどれたのになぁ」
 ぼそりと付け足された不穏な言葉にミモザはぶるりと震えた。それに気づいてか気づかずにか、彼はにこりとミモザに笑いかける。
「この聖剣にはかつて女神が実体を持っていた頃に彼女が封印した邪悪な精霊が封じられていたと言われているんだ」
「えっ」
 ミモザは思わず食べる手を止める。
「解放されるって言われましたよ」
 もしかしなくともまずいのでは。冷や汗をかくミモザにエオは苦笑した。
「ああ、心配には及ばないよ。精霊の肉体はもう滅びてるから。復活はできないさ。解放とは魂の消ゴーヤ滅のことだろう」
「は、はぁ、なら良いのですが……」
 よく知らずに手を出すものではないな、と反省する。一歩間違えば大災害だ。
「異空間を作るために聖剣の魔力を転用していたのだとしたら、その消滅と共に異空間が消えても不思議じゃない」
 そう言った後で、エオは感心したようにミモザを見た。
「消滅しなくて良かったね」
「え」
「異空間と一緒に消し飛んでもおかしくなかったと思うよ」
「…………」
 本当に迂闊なことはするものではないな、とミモザは猛省した。

 ロランと一緒に鍋を片付けて、ミモザは大きく伸びをした。これからまた泳いで祝福を手に入れに行かなければならない。エオが壊れた聖剣をいじっているのが視界に入った。
「聖剣欲しかったなぁ」
 思わずつぶやく。するとエオが顔を上げた。
「そうだね、じゃあ試してみるかい?」
「え?」
 返答が返ってきただけでも驚きなのに、さらに予想外のことを言われてミモザは目を見張る。そんな彼女にエオは面白がるように笑いかけた。
「いにしえから伝わるおまじないでね、力を得ることができるらしい。よければ教えてあげよう」
「…………」
 ミモザはごくり、と生唾を飲み込んだ。

 数刻後、ミモザはーー、
「力をー与えたまえー、力をー与えたまえー」
 藁人形に釘を打ちつけていた。
 頭には火のついた蝋燭を2本、ツノのようにくくりつけ、顔にはべっとりと赤い染料を塗っている。
「がんばれーがんばれー」
 エオはその後ろで自分の杖にハンカチをくくりつけ、旗のようにしゴーヤ チャンプルーて笑顔で振っていた。
「大丈夫なのか? あれ」
 ロランはドン引きした顔で遠巻きに眺めている。
「……はっ!」
 その時ミモザは天啓を得た。
「できる! 気がする!!」
 ミモザは近くで眺めていたチロへと手を伸ばす。チロは嫌そうにミモザへと近づくとメイスへと姿を変えた。
「はぁあ……っ!」
 気合いを入れてメイスを振る。
 するとそこにぼわん、と黒い煙のようなものが、球状にわだかまって現れた。
 それはミモザの全身と同じくらいの直径の球体だった。黒い煙は濃く深く薄まることがなく、そこにただぼんやりと浮かんでいる。
「は? 本当に効くのか」
 それに顔を引き攣らせてにロランは言う。
「いや、まさか」
 それをこともなげにエオは否定した。
「は?」
「プラシーボ効果ってすごいねぇ」
 プラシーボ効果。つまり、思い込み効果ということである。
「おまえ……」
「さてさて、どんな具合かな」
 ロランの非難の視線を避けるようにエオはその黒い塊へと近づくと「ふむ」と一つ頷いた。
「……大丈夫なのか。こんな得体の知れないもんに近づいて」
 ロランも恐る恐るといった様子で近づく。それにエオは気づいて場所を譲るように移動するとロランの背後へと回り、
「ちょっと試してみなよ」
 とその背中を押した。
「どわっ!!」
 ロランはその黒い煙へと全身を突っ込む。
「な、何も見えん! 何をするんじゃっ!!」
「まぁまぁ、死にはしなそうだから」
 ロランは慌てて煙の中から飛び出してくる。そしてむず痒そうに手足をばたつかせた。
「あーなんか、ピリピリするのう。別に動くのには支障はないが、なんじゃろうな、これは」
 むむぅ、と唸る。
「ちょっと体が痺れた時のようなピリピリ感と、激しい運動をした後に長風呂から上がったあとのサプリメント マカような倦怠感もあるのぅ」
「なんか心地よさそうだね」
「いや、なんかちょっとのぼせた後みたいな感じじゃ」
「あー、地味にだるくて嫌なやつだ」
「そんな感じじゃ」
「……もうやめてもらえませんかね」
 二人のやりとりをミモザは力無く遮る。どうやらこの黒い煙はミモザの二種類の毒をミックスした効果があるようだ。
 逆に言えばそれだけである。
 ミモザの精神力のHPはもうゼロに近かった。
マカマカ亜鉛 サプリクロム

「打ち合わせマカ

「打ち合わせをしよう」と彼は言った。
「打ち合わせ」
「君の母親に亜鉛の効果とって俺は憎いいクロムの効能じめっ子の義兄、つまりは敵だ」
「なるほど」
 つまり話がスムーズに進むように作戦を練ろうということだ。ミモザとしてもレオンハルトが責を負うのは本意ではないため頷いた。
「まずはレオン様亜鉛の効果が敵ではないということを説明するところからですね」
「そうだな。あともう一つ、実は提案があってね。そっちの方も一緒に許可を得たい」
「提案?」
 首を傾げるミモザのことを真っ直ぐに見下ろして、レオンハルトは尋ねた。
「君、王都に来ないか?」
 ミモザはぱかん、と口を開けた。

「この度は、誠に申し訳ありませんでした」
 レオンハルトは深々と頭を下げた。ミレイはそれを険しい顔dha epa dhaで見下ろしている。
 場所は家の玄関だった。突然の訪問に驚いたミレイは、すぐにミモザの顔の傷に気づいて顔をしかめた。そしてレオンハルトの説明を聞くにつれどんどんとその表情は固くなり、それはレオンハルトの謝罪を聞いてもやわらぐことはない。
 英雄の登場に最初は喜んで近づいて来ようとしたステラも、事情が事情だけにミレイに下がっていろと言われて家の中で大人しくしている。しかし好奇心が抑えられないのか少し離れた位置からこちらをちらりちらりと覗いて聞き耳を立てているようだった。
「レオンハルトさん」
 ミレイは重い口を開くゴーヤ
「アベルくんは直接謝罪には来ないんですか?」
「もっともな疑問です。しかし今アベルは謝罪に来れる状態ではありませんので代わりに俺が…」
「どういうことです?」
「反省していません」 
 そのあっさりと告げられた言葉に息を呑むと、ミレイは一層表情を厳しくした。
「それはどういうことですか!」
「ま、ママ!」
 慌ててミモザは仲裁に入る。
「レオン様は悪くないよ。そんなに責めないで。僕のことをアベル達から助けてくれたんだよ」
 ミモザの言葉にミレイの肩からほんの少しだが力が抜けた。それを見てミモザは畳みかける。
「元々レオン様は僕と時々遊んでくれてて、勉強とかも教えてもらってたんだ。このリボンをくれたのもレオン様」
 ミモザは首に結んだリボンを示す。ミレイが驚きdha epa dhaに目を見張るのに、レオンハルトは「申し訳ありません」と再度頭を下げた。
「お嬢さんと勝手に関わりをもってしまって……、本当ならきちんとご挨拶に伺うべきだったのですが」
「レオン様は忙しいから、ママとタイミングが合わなくて」
「どうして教えてくれなかったの?」
「信じてくれないと思って」
 何せ相手は英雄だ。その言葉には信憑性があったのかミレイは納得したようだった。
「アベルは結局謝ってくれなかったの。それをカーラさんとレオン様は重く見て、今のままうちに連れてきても上べだけの謝罪になっちゃうからって。ちゃんと反省させてから謝罪させるって言ってくれたんだよ」
「そんなこと……、どうやって」
「カウンセリングを考えています」
 レオンハルトは下げていた頭を上げて静かに告げた。
「アベルの暴力行為は素人でどうこうできるものではないと考えています。なので然るべき機関に相談をして対応しようかと。とりあえずはdha epa通院させる予定ですが、それでも治らないようなら入院させます」
 入院と聞いて、ミレイも少し怯む。しばし黙って考え込んだ後「信じていいですか」と問いかけた。
「信じていいですか。私たちは一度裏切られました。もう一度同じようなことは起こらないと信じていいですか」
「約束します」
 レオンハルトはしっかりと頷く。金色の瞳には誠実そうな光が瞬いていた。
「このようなことが起きないようにきちんと手を打ちますし、もし万が一があればすぐに入院させます。その件で一つご相談があるのですが」
「相談?」
「本当は、このような形で切り出すつもりはなかったのですが……」
 そこで彼は少し言いづらそうに逡巡し、そして何かを決心したかのように口を開いた。
「ミモザくんのことを、俺に預からせてもらえませんか」
「え?」
「彼女を俺の弟子として、秋休みの間王都で預かりたいのです」
「……どうして」
 ミレイの当然の疑問に同意するように一つ頷く。
「理由はいくつかあります。一つは今回の件。アベルのカウンセリングが進むまで、そしてミモザくんの気持ちが落ち着くまで、決して顔を合わせることがない亜鉛の効果ようにしたいのです」
「それなら、」
 言わなくてもわかっている、というようにレオンハルトは手のひらを突き出し言葉を制する。
「弟のアベルを王都に、と思われるかも知れませんが、アベルに反省を促すためには母であるカーラさんと共に居させた方が良いと思うのです。カーラさんはアベルに言いました。もしもミモザくんと同じ目にアベルが合わせられたらその相手のことを憎むと。アベルはその言葉を聞いて多少、自分の行いの非道さを認識した様子でした」
 その言葉にミレイはハッとしたような表情をした後考え込む。ミレイもカーラの人柄は知っているのだ。前回のいじめ騒動の時もとても誠実に対応してくれたことも。
「そして二つ目は、単純にミモザくんには精霊騎士としての才能があるからです。このまま不登校のせいで実践の指導が受けられないというのは彼女にとって損失です。しかし学校に行くのは辛いでしょう。俺の下でならアベルと会うことなく、実践的な訓練ができます」
「……。ミモザ、あなたはどうしたいの?」
「できればレオン様のところで修行したい」
 葛藤するような母の言葉に、しかしミモザは縋り付くようにそう訴えた。
 その娘のいつにない強い主張にミレイは息を呑む。苦しげに目を伏せ、「……わかりました」とか細く告げた。
 はっ亜鉛とミモザは顔をあげる。その期待のこもった眼差しにミレイはため息をついた。
「ただし、手紙を書くように。秋休みが終わったらうちに帰してください」
「ありがとうございます」
 レオンハルトは深々と頭を下げ、
「ありがとう!ママ!」
 ミモザは手を合わせて喜んだ。
クロムゴーヤマカ と は

 その後のレ亜鉛の効果

 その後のレオンハルトの行動は迅速だった。すぐに4人とミモザを引き連れてそれぞれクロムの効能の家へと向かい事情を説明し、主犯が自らの弟であることをアベdha epa dhaルの取り巻きの家族へと謝罪した。そしてまだミモザへの謝罪は行われておらず、反省の意思が低いことを伝え、よくよく指導してくれるように、といい含めた。
 それぞれのご家族は二度目だったこともあり、恐縮した様子でミモザに謝ってくれた。
アントシアニン そうして1人ずつ家へと帰していき、最後はアベルを残すのみとなった。ミモザとレオンハルトとアベルというなんとも微妙な組み合わせで家を訪ねる。
 アベルの家とミモザの家はなんとお隣同士である。隣といっても田舎あるあるでものすごく遠く、畑と牧場を挟んだ上での隣である。まぁ、それでも隣は隣である。
 ミモザの家は村の一番西端にある。その手前がアベルの家である。さわやかな空色の屋根にクリ亜鉛の効果ーム色の壁。庭には家庭菜園と色とりどりの花が咲き誇る美しい家である。庭の手入れがよくされているのが見ただけでわかる。
 レオンハルトは終始渋っていたアベルの腕を掴んで引きずるようにしながら、その家の扉をノックした。
「はーい、どなた?」
 凛とした明るい声がする。おそらく彼女はアベルが学校から帰るのを待っていたのだろう。エプロンをつけて昼食の香りをただよわせながら玄関に出た。
 明るい橙色の髪に理知的な青い瞳。髪を編み込んでお団子に結い上げた美しい女性だ。
 その普段は明るい表情が、来客のただならぬ様子を見て曇る。
「レオンくんとミモマカ サプリザちゃん?一体どうしたのかしら?」
「カーラさん、このような形になってしまって申し訳ない。大事な話があってきました」
 そう丁寧な口調で告げると、レオンハルトはアベルのことを地面に跪かせるようにカーラの前へと投げ出した。
「アベル……?あんた……」
「母さん、違うんだ、俺……っ」
「アベルがミモザくんのことを傷つけました」
 その言葉にハッと彼女はレオンハルトのことを見上げ、ついでミモザの顔の傷を見て取ったのか表情を歪めた。
「友人3人とともに彼女を取り囲んで石を投げつけ、髪を引きちぎるという暴行を加えたようです」
「……なっ!?」
「違う!」
 思わず反射で叫んだのであろうアベルを、レオンハルトとカーラ、計3つの目が見下ろす。
「何が違うんdhaだ、言ってみろ」
「お、俺は、別に!暴行だなんて……、そんなつもりじゃ……」
 その視線に怯んだのかアベルはもごもごとそれより先の言葉は続けられず言いごもる。
 レオンハルトの深いため息に、アベルは身を震わせた。
「じゃあどんなつもりだったと言うんだ。まさかその行為で彼女が喜ぶと思っていたわけでもあるまい」
「それは、だって…っ」
「だって、なんだ?お前は明確な悪意を持って、彼女に危害を加えた。どんな言い訳を並べ立てたとて、その事実は揺るぎない」
 アベルは顔を真っ赤に染め、耐えきれなかったように叫んだ。
「それはこいつが生意気……っ!」
「もうやめて……っ!!」
 しかしそれは別の悲鳴じみた声に遮られた。見るとカーラは苦しむように頭を抱え、俯いている。その目からはぽたり、ぽたりと涙がこぼれ落ちていた。
「もう、やめて……」
「母さん……」
「やっぱり血は争えないのかしら」
 その目は失望感に満ち、遠くを見つめている。
「そ亜鉛 の サプリれを言われては俺の立つ瀬もありませんが」
 苦笑しながら言われた言葉にカーラは弾かれたように顔を上げる。
「ごめんね、レオンくん。そんなつもりじゃ……」
「いえ、わかっていますよ。大丈夫です」
 どうやら2人にしかわからない話があるらしい。カーラは気を取り直すようにアベルを見ると、その前に膝をつき目線を合わせた。
「アベル、ねぇ、アベル。なんでこんなことをするの。前回の時あんた反省したって言ってたじゃない。嘘だったの?」
「それは……」
「あんた母さんにも先生にもミモザちゃんにも嘘をついたの」
「嘘をついてるのはミモザだ。俺は窓ガラスは割ってない!」
「あんた、何言ってるの」
 アベルの決死の叫びに、しかしカーラは目を見張った。
「誰が窓ガラスの話なんてしたの。ミモザちゃんに怪我をさせた話をしてるのよ」
「……っ」
 アベルは唇を噛みしめる。カーラはそんな息子の様子に力無く首を振った。
「アベル、わたしはね、もしあなたがミモザちゃんと同じ目に合わされたらそれをした相手が憎いわ。死んでしまえばいいとさえ思マカ サプリうかもしれない」
「……っ!?」
「あんたのしたことはそういう行為よ。そういう最低なことなの。わからないの?」
 カーラはアベルの肩を掴む。その瞳には焦燥があった。
「ねぇ、わからないの?アベル」
「……母さん」
「わたしはもう、あなたがわからないわ。一生懸命育ててきたつもりだった。愛情を持って、真っ直ぐ生きてくれたらと。でももうわからないのアベル。どうしたらいいのかがわからない。あんた、一体どうしたらまともになってくれるの?」
「か、母さん!」
「カーラさん」
 そっと、レオンハルトはカーラの背中を慰めるようにさすった。そして残酷に言い放つ。
「アベルはおそらく病気です」
「お、俺!病気なんかじゃ……」
「普通の健常の人間は理由もなく暴力を振るったりなどしない。それは明らかに異常な行為だよ、アベル。
風邪を引いたら医者にかかるように、今回の件も専門家を頼るべきだと俺は思います。カウンセリングを受けさせましょう。更生のために。いい先生を探します」
「……レオンくん」
 不安げに見上げるカーラに、レオンハルトは力強く頷いてみせた。
「アベル自身の将来もですが、これ以上被害者を出さないことを第一に考えるべきでしょう」
「それは、入院させるってことかしら?」
 アベルは息を呑む。しかしレオンハルトは首を横に振った。
「それ亜鉛は最終手段です。まずは通院でいいでしょう。それでどうしようもないなら入院させるしかありませんが。学校側に協力を仰いでアベルが暴力的な衝動を抑えられない様子がないかどうかなど見張ってもらいましょう。こう言ったことはちゃんと環境を整えて徹底的にやらないといけない」
 そこでアベルへと向き直る。
「アベル。お前もいいね。お前に治療の意思がなければどうにもならん。苦しいとは思うが俺も協力を惜しむつもりはない」
「俺、病気じゃないよ」
 アベルは途方にくれたように言った。自分の意思に反して進んでいく話についていけないのだ。
 しかしレオンハルトはその言葉を言い逃れと捉えたのか追撃の手を緩めなかった。
「ではお前は正常な状態にも関わらずなんの罪悪感もなしに暴力を振るったということになる。そちらの方がよほど悪い。そうなのか?アベル。お前は生まれつき暴力的な行為が好きな人間なのか?」
 問われてアベルは力無く首を横に振った。もう何も言えない様子だった。それに対してレオンハルトはやっと態度を軟化し優しく微笑み、なぐさめるように肩を叩く。
「まずは自分が異常な行動を取っていること、それを自覚するところから始めよう。大丈夫。必ず良くなる。そうすれば心の底から申し訳ないことをしたとちゃんと反省し、謝罪することができるようになるだろう」
 アベルは操られた人形のように無気力に首を縦に振った。レオンハルトもそれに同亜鉛意するようにしっかりと頷き返す。
「頑張っていこうな」
 そして立ち上がるとミモザの隣へと移動し「じゃあカーラさん。俺はミモザくんを家に送ってご家族に謝罪をしてきますので」と告げた。
 それにカーラは焦ったようにエプロンを外しながら「わたしとアベルも一緒に……」と身を乗り出す。
 しかしその言葉をレオンハルトは手で制し、首を横に振ることで断った。
「今のアベルの様子では謝罪などしても上べだけになってしまうでしょう。それでは先方にかえって失礼だ。まずは俺1人で謝罪に伺います。カーラさんはアベルのことをよろしくお願いします」
「……ごめんね、迷惑をかけちゃって」
「なにを言うんです。家族でしょう。俺はそのつもりでしたが違いましたか?」
 カーラはその言葉を噛みしめるように俯いた。
「いいえ、違わないわ、ありがとう」
 そしてミモザへと向き合う。その瞳はもういつもの理知的な光が戻ってきていた。
「ミモザちゃん、本当にごめんなさい。きちんとアベルのことは更生させます。あなたにも近づかせないようにするからね。本当にごめんなさい」
 あまりにとんとん拍子に進む急転直下の状況に、ほぼ空気と化して流れを見ていただけだったミモザは首をぶんぶんと横に振ることしかできなかった。
亜鉛 サプリ おすすめ亜鉛 サプリ おすすめ亜鉛 サプリ おすすめマカ サプリ

 その後はマカ サプリ

 その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルトとアズレンの会話を聞くのみであった。話題にゴーヤはやはり野良精霊の異常増殖と狂化の件がのマカぼったが、現在は小康状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明であること、そして人為的に引き起こされていることは状況証拠的にほぼ確定であることがやり取りの中でマカ サプリ明かされた。
 最後に「では期待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
 そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人の間には今、
「……えっと、お食事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
 微妙な空気が流れていた。
 原因は明白だ。
(好みのタイプ聞かれてとっさにレオアントシアニンン様の名前出しちゃったからなぁ)
 ミモザはぼんやりと斜め上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
 レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)
 謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそのこと一発殴ってくれたほうが謝りやすいまである。
「ええっと、」
「君は」
 そこでやっとレオンハルマカ サプリトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げる。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
 思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
 恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
 強い口調に身をすくめる。ちらりと彼を見るとその目は据わっていた。
「それは、やめなさい」
「……はい」
「俺でいゴーヤい」
 ふい、とまた顔ごと背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名は、俺でいい」
「……わかりました」
 本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
 再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
 見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
 レオンハルトからグラスを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思いついたように足を止め振り返ると「筋肉と亜鉛か胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
 極めて遺憾である。

「ねぇ、あなた」
 レオンハルトがお手洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
 ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
 とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
 ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
ゴーヤサプリメント マカゴーヤ

 テーブルdha

 テーブルの上では燭台の橙色の柔らかい灯りと暖色系でアントシアニンまとめられた花が水差しへと生けられて穏やか亜鉛の効果な晩餐会を彩っていた。
 さて、ミモザという少女がレオンハルト邸を訪れて数日が過ぎようとしていた。今までほとんど来客がなく一人しか卓を囲むことのなかったテーブルに二人の人物が腰掛けるようになって数日、マーサは今だに不思議な気持ちでその光景を眺dhaめていた。
 テーブルを囲って初日、少女は神妙な顔をして挙手した。いわく「テーブルマナーがわかりません」。
 主は一瞬虚を突かれたような顔をした後、「礼儀作法の教師を雇おう」と告げてその会話を終わらせた。恐縮する少女に「今後弟子として同行してもらうことが増える。その際にマナーがわからないようでは俺が恥をかく」と言い置いて。
 二人の間のクロム会話は決して多くない。まぁ、『レオンハルトとの会話量』としては少女はぶっちぎりで多いのだが、一般的なものと比べると少ない方である。しかし二人の間に流れる空気は気安く、とても穏やかなものだった。
 これまでは食事などただの作業だと言わんばかりの速度でマナーは守りつつ食事をさっさとかき込んでいた主人が、今は少女のたどたどしいゆっくりとしたペースに合わせて食べている。気にしていない風に特に何を言うでもないが、同時に食べ終わるようにワインや水を頻繁に口に運んでみたりゆっくりと咀嚼したりマカ と はと無言で工夫を凝らしている様子は見ていて微笑ましい。そして少女がどのくらい食べ進んだのかを確認する際に彼女がその視線に気づいてにこりと小さく微笑むと、彼は困ったように苦笑を返すのだった。
 ミモザが訪れてまだ数日であるが、これまでただ重苦しく張り詰めていた屋敷の空気が柔らかいものへと変わりつつあった。

(何よりも旦那様の機嫌が良い)
 うんうん、とマーサは上機嫌で頷く。機嫌が良いのはいいことだ。それだけで職場の雰囲気が格段に向上する。よしんば機嫌が悪くともミモザと話していれば今までよりも遥かに短い時間で直るのだ。これには感謝の言葉しかない。
「ずっと居てくれればいいですよねぇ」
 マーサの内面を代弁するように、一緒に廊下の掃除をしていたロジェが言った。燃えるような赤い髪にブラウンの瞳を持つ彼女は古株マカ と はだらけのこの屋敷に置いて貴重な若者だ。ぴちぴちの20代の彼女は、彼女いわく「ぞっこんなダーリン」がおり、レオンハルトへ秋波を送ることのない貴重な人材であった。
「ひと月しかいないみたいだねぇ」
 残念に思いため息を吐く。
「えー、延ばさないんですかねぇ、延長、延長!」
「そんなことできるわけがないだろ。まぁ、また来てくれるのを祈るしかないねぇ」
 たしなめつつも「はぁ」とため息が出る。一度良い環境を味わってしまうとこれまでの状態に戻るのが憂鬱でならない。
 その時可愛らしい鼻歌が聞こえてきた。鈴を転がしたようなその明るい声は、ここ数日で聴き慣れたものだ。そちらを向くと廊下の曲がり角から予想通りの人物が姿を現すところだった。
「ミモザ様ぁ、おはようございますぅ」
 ロジェがぶんぶんと手を振って挨拶する。孤児院育ちの彼女は少々お行儀の悪いところがあった。
 その声に少女は両手いっぱいに花を抱えて振り向いた。金糸の髪がさらりと流れ、青いdha epa瞳が優しげに微笑む。
「おはようございます。ロジェさん、マーサさん」
 その可愛らしい救世主の姿にマーサとロジェはほっこりと微笑んだ。
「毎朝せいが出ますねえ」
 手に持つ花束を示して言うと、彼女はああ、と頷いた。
「暇ですからね、わりと」
 これも彼女が来てからの変化だ。殺風景で飾り気のなかった屋敷に彼女は庭から摘んだ花を飾って歩く。最初は食卓の一輪挿しからじわじわと始まり、気づけば廊下から執務室までありとあらゆる場所へとそれは入り込んでいた。
 屋敷に勤める女性陣には大好評である。これまでそういったことをしたくても出来なかったのだ。主人に直談判する勇気が誰もなかったからである。しかし彼女は違う。ミモザはこれまで誰もなし得なかったことを何かのついでにひょいと「花飾っていいですか?」と聞いてあっさり許可をもらった猛者である。
「ミモザ様はぁ、お花がお好きなんですかぁ?」
 ロジェがにこにこと訊ねる。それにミモザは「いやぁ、特にそういうわけでは」と意外な返事を返した。
「そうなんですかぁ?てっきり毎朝飾られているのでお好きなのかとぉ」
「そうですね。これは好き嫌いというよりは……」
 真剣な顔で彼女は言ポリ ペプチドった。
「お花を飾ると家の運気が上がるので」
「運気」
「はい。運気です」
 曇りなきまなこである。
(まぁ、ちょっとオカルト?が好きな子みたいよねー)
 別に害はないのでマーサとしてはどうでもよかった。
「あのぅ、実はお願いがあるのですが」
 ミモザはちょっと困ったように言う。屋敷を訪れてすぐの無表情はなりを潜めている。緊張していたのだとは本人の談だが緊張しているのが周囲に見た目で伝わらないのはなかなかに損な性分だなと思う。
「どうしたんだい?」
 ミモザはもじもじと恥ずかしがりつつ「今日、レオン様は外出らしくて……」と言った。
「一緒に昼食をとってもいいでしょうか?」

 彼女の位置付けは微妙だ。お客様ではないが使用人でもない。主人の弟子として修行をし、家庭教師などから教育を受けているが、使用人としての仕事も少しこなしている。
 つまり彼女の「仕事の先輩方と仲良くしたい」という希望は的外れではないが、おかしな話でもある。
「ーで、連れてきたのか」 
「まぁ、断る理由がなくてねぇ」
 不機嫌そうにジェイドが言うのにマーサは肩をすくめた。
「ふん、まぁいい、わたしは知らん」
 ふん、と顔をそらして使用人の控室であり、食事を取るテーブルの一番隅へとジェイドは腰掛ける。手にはもう昼食のプレートを持っていた。
 そこにミモザが昼アントシアニンの効果食のプレートを持って現れた。彼女はキョロキョロと室内を見渡すとジェイドのちょうど正面の席へと腰を落ち着けた。
「なんでここに座る!?」
 ぎょっとしたようにジェイドが立ち上がる。
「え?」
 ミモザは不思議そうだ。
「またやってら」
 庭師のティムが呆れたようにそれを見てぼやいた。
 そう、何故だかミモザは蛙男ことジェイドに非常に懐いていた。
「席は他にいくらでも空いとろーが!!」
 ミモザはきょとんと「そうですね」と頷く。
「なら!何故!ここに座る!」
「すみません、誰かの指定席でしたか」 
 しぶしぶと立ち上がるのにロジェが「指定席とかないからぁ、大丈夫よぉ」と教えてあげる。その言葉に彼女はきょとん、としてから再び腰を下ろした。
「座るな!」
「でも誰の席でもないと…」 
「わたしが嫌なんだ!!」
「何故ですか?」
 首をひねるミモザに、ジェイドはびしっと指を突きつけた。
「いいか、わたしはな!顔のいい奴が大っ嫌いなんだ!」
 非常に大人げない理由だった。
「ジェイドさん」
 ジェイドのその言葉にミモザは珍しく少しむっとした表情になる。
「な、なんだ」
 自分からふっかけておいてジェイドは怯む。その顔をじっと見つめながらミモザは「僕、そういうのはよくないと思います」と唇を尖らせた。
「はぁ?なんだと?」
「人の容姿をどうこう言うのは不謹慎です」
「褒めてるんだろうが!」
「でもジェイドさんはマイナスの意味でそう言っています」
 その指摘にジェマカイドはうっと言葉を詰まらせる。
「褒めてません」
「うっ」
 じぃっと恨みがましい目で見られるのに彼はたじろいだ。
「ミモザ様はぁ、なんでジェイドさん好きなのぉ?」
 ロジェが助け舟を出す。ミモザの視線はロジェへと移った。
「優しいからです」
「はぁ?優しくした覚えなど!」
 しかし返された答えにジェイドは思わずといった様子で声を上げた。再びミモザの視線がジェイドへと戻り、ジェイドは嫌そうに身を引く。
「確かにジェイドさんは大きな声を出します。でも理不尽な暴力を振るったりはしません」
「当たり前だろうが!」
「当たり前ではありません」
 そこでミモザは憂鬱そうに目を伏せた。
「嫌そうな態度は取ります、けれど僕の人格を否定するようなことは言いません。面倒だとは言います、しかし要領の悪い僕に何度も根気強く仕事を教えてくれます。あなたは優しい。だから……」
 顔を上げる。冬の湖のような静かな瞳がジェイドを見つめた。
「だから僕がつけあがるんです」
「つけあがるな!」
 ジェイドはふーふー、と肩で息をする。それを見つめつつ彼女は説明が足りなかったと思ったのか、考え考え言葉をつけたした。
「僕、修行を始めてからマッチョになりました。そのおかげで少し自信がつきました。僕はこれまで、何も言いませんでした。ずっと何も思ったことを言わず、そのくせ周りに期待をしていました。察して欲しいと、自分は何も行動しないくせに」
 そこまで言って、「んー」とまた言葉を探す。
「だからこれからは、少しずつ思ったことを言おうと思ってます。僕は、貴方が好きです。人間として、仕事の先輩として、尊敬しています」
「わたしはお前が嫌いだ!」
 ジェイドの喚くアントシアニンの効果ような返答に、ミモザの表情は変わらなかった。ただ無表情に、ジェイドを見つめている。
 それにちっ、とジェイドは舌打ちをした。
「お前、そう言う時は落ち込んだそぶりで涙でも流してみろ。それだけでお前の容姿なら同情が引ける。不器用な奴め」
 そう言い捨てるとそのまま席について食事を始めた。
「一緒に食事をしてもいいですか?」
「好きにしろ、お前がどこで食べようとわたしは知らん」
 にこ、とミモザは笑った。
「僕ジェイドさんはツンデレだと思うんですけどどうですかね」
「ツンデレが何かは知らんがろくでもないことを言ってるだろうお前!なんでも素直に口にすればいいと思うなよ、小娘!」
 えへ、とミモザは花が綻ぶように笑った。
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「ほら、こん亜鉛の効果

「ほら、こんなにいっぱい倒せたのクロムよ」
 ステラは両手いっぱいに魔導石を抱サプリメント マカえて笑う。
(うん……?)
その明らかに多い量にミモザは首をひねった。
「すごいね、えーと、40個くらい?」
「あら、そんなものじゃないわよ、そうねぇ、さっき数えた時は72個あったわ」
「え?」
「ふふ、驚いた?すごいでしょ、2人で頑張ったゴーヤのよ」
「ふ、2人で、」
「そうよ」
 ミモザは強張った顔でなんとか笑みを作り、「これ、昨日の分とかも混ざってるのかな」と問いかけた。
「いいえ?昨日の分はこっち、これはね、今日の分よ」
「……っ!!」
 ひゅっと息を呑む。ことの重大さがわからないのだろうか。
 思わずアベルを見ると、彼は気まずそうに目を逸らした。
 この国にはルールがある。dha epa dha野良精霊が絶滅しないように、一日に1人が狩れる野良精霊の数は20匹まで。
 つまり2人で狩れる数は合わせて40匹。
 それを遥かに超えた数の魔導石。
(違法行為だ)
「え、えっと、お姉ちゃん、1人20匹までだよ」
 ミモザは震える声で訴える。
「そんなに野良精霊を狩るなんて、そんな酷い……」
 そこまで言いかけてミモザははっとした。このシーンをミモザは知っている。
 これは、ミモザの妨害イベントだった。
 ゲームの中のミモザは嫌がらせを繰り返す。ある時は塔に入るのを妨害したり、ある時は『いちゃもんをつけて魔導石を奪い去る』。
 ミモザの中で、それらの認識がdha epa dha180度ひっくり返る。
(嫌がらせじゃない)
 ミモザはステラを諭していたのだ。法律違反はいけないと。
(いやいやいや、ちょっと待て)
 このゲームでは一回の戦闘で4~5匹の野良精霊とエンカウントする仕様である。つまり4回ほど戦闘を行えば20個に到達してしまう。アベルの分を含めても8回の戦闘で上限だ。つまり簡単に20匹という上限は超えられてしまう。そのうえプレイヤーはレベルを上げるために野良精霊との戦闘をわざと回り道をしたり練り歩いたりして何回もこなす。
 そしてゲームの中ではこの野良精霊を狩る数の制限の話など1ミリも出てこない。
 だからミモザの訴えがいちゃもんにしか聞こえなかったのだ。
(ということは、もしかすると他の嫌がらせも何かしらの意味があったのかも知れない)
 今はまだわからないなんらかの理由でゴーヤ、ミモザは姉の違法行為を止めようとしたのだとしたら。
 そこでミモザはもう一つ思い出す。ゲームのミモザは序盤は狂化していなかったということを。今のミモザがすでに狂化してしまっているのは前世の記憶を思い出したからだ。
(ゲームのミモザはまだ、お姉ちゃんのことを嫌っていなかった……?)
 何せ姉から体を張って魔導石を奪うのだ。それは犯罪行為の隠蔽に他ならない。
 思い返してみれば記憶を思い出す前、ミモザはステラにいじめの相談をしていたのだ。その時の心境はもはや思い出せないが、それはステラを信頼してのことだったに違いない。
(どうしよう)
 冷たい汗が頬を伝う。チロも所在なさげに「チー」と鳴いた。
 ゲームなら本来、ここは魔導石を取り上げる場面だ。しかし破滅を恐れるミモザとしてはここは何もせずに放っておくのが正しい。
(でも……)
 そうしたらステラは咎められるだろう。野良精霊の狩猟制限を破るのはそれなりの罪だ。具体的には牢屋に入れられる亜鉛 サプリ可能性もあるし、初犯ではさすがにないだろうが繰り返せば精霊騎士となる資格も剥奪されるかも知れない。
(わからない、わからないよ、『ミモザ』)
 語りかける。ゲームのミモザはステラを助けようとしたのだ。
 忌々しいステラ、妬ましいステラ。
(どうして助けようとした?)
 今決めなければならない。ここで魔導石を奪わなくてはステラはきっとなんの疑いもなく魔導石を売ろうとして捕まってしまう可能性が高い。
 ミモザの頭の中をぐるぐると益体のない思考が駆け巡った。
「ああ、あの法律?」
 ステラの声にはっと顔を上げる。ステラは涼しい顔で微笑んでいた。
「そ、そうだよ。知ってるでしょ」
 ほっと息を吐く。話し合いで解決できそうだと思って一歩前に踏み出すと「でも、野良精霊なんて少ないほうがいいじゃない」と彼女はその気持ちを裏切るように言い放った。
「……え?」
「野良精霊がいっぱいいるとみんな困っちゃうわ。ねぇミモザ、法律は大事だけど、それだけじゃなくてその意味をきちんと考えるべきだと思うの。きっと無茶して傷つく人を減らすために制限があるのよ。だから、わたしは強いから大丈夫」
 彼女は花のように美しく笑う。ミモザの喉はからからに乾いdha epaて呼吸が苦しくなる。
「なに、言って、」
「わたしは20匹以上狩っても大丈夫よ。怪我も全然していないもの。ああ、でもミモザは大変だと思うから真似しちゃダメよ」
 息が苦しい。心理的なストレスで呼吸が浅くなっているのだとミモザは思い、意識して深く息を吐いた。そして吸う。
「お姉ちゃん、違うよ。制限があるのはね」
 そこまで言いかけて言い淀む。野良精霊の絶滅を防ぐためだ。エネルギーの補填のために、国と教会はある程度の野良精霊の繁殖を推奨している。しかしそれは公式見解ではなくただの暗黙の了解だ。みんな薄々察してはいるが、根拠となるものは何もない話だった。人に被害があるかも知れないにも関わらず、野良精霊を増やしていいなどと、国も教会も立場上おおっぴらに言えはしない。
「なぁに?ミモザ」
「の、野良精霊は絶滅しちゃいけないんだよ。魔導石が枯渇したらみんなが生活に困っちゃうでしょ」
「何を馬鹿なことを言ってるの、ミモザ」
 鈴の音を転がすような軽やかな声で姉はころころと笑う。
「そんなこと誰も言ってないわよ。話を作っちゃだーめ。だったらなんで教会は守護精霊を野に放つことを禁止しているの?野良精霊が増えると困るからでしょ?」
「それは、」
「ミモザ、羨ましいんでしょ」
 ステラはにこにこと続ける。
「自分がたくさん狩れないから、お姉ちゃんにもやめて欲しいんでしょ。だめよ、人の足を引っ張るような真似をしちゃ」
 ひマカゅっと息を飲む。話が通じない。元々天然で話が意図した形で伝わらないことはあったが、今回の件は天然だから仕方がないで済ませられる問題じゃない。
「お姉ちゃん、法律違反はダメだよ。お巡りさんに捕まっちゃうよ」
「大丈夫よ。話せばわかってくれるわ」
 ミモザは首を横に振る。何度も、何度も。
 その仕草がゲームのミモザが死ぬ直前にしていた動作と重なって、ミモザは動きを止めた。
 目をつむる。息を吐く。
「チチッ」
「そうだね、チロ」
 ミモザは同意した。
 チロは、もうダメだ、見捨てよう、と言った。
 覚悟を決めて、ミモザは姉を睨む。ゲームのミモザは優しかった。体を張って姉を止めようとしていた。けれどその結果がすべてを奪われて死ぬだけなのだと今のミモザは知っている。
 そして申し訳ないが、今のミモザは姉のために濡れ衣をかぶるだなんてごめんだった。
「お姉ちゃん。僕は忠告したよ」
「ミモザ?」
「お姉ちゃん、僕は貴方の」
 訝しげな表情を浮かべる姉の顔を見つめて、ミモザは宣告した。
「敵だ」
マカdhadhaクロムの効能

「……っ!」 マカ サプリ

「……っ!」
「なにを……っ!」
 ミモザのサプリメント マカ言葉に横で話を聞いていたマシューが思ゴーヤわずというように声を上げた。ミモザはその反応にちょっと驚く。ちらりと彼のことを横目で見つつ、言葉を続けた。
「あなた方はもっと、自分が相手と同じ土俵に立っていないということを自覚すべきだ」
「……同じ土俵dha?」
 今にも食ってかかりそうなマシューを手で制し、ジェーンが尋ねる。ミモザは頷いた。
「ええ、責任を取る立場に」
 ぐるりと見回す。ジェーンにマシュー、ジーン、そしてロランだけがにやにやとした顔でこちらを見ていた。
「今後、塔を閉鎖したことにより騎士が弱体化し、他国に攻められることになったら?塔を観光資源として利用し商売を行っている人達の今後の生活は?他にも亜鉛 サプリいろいろありますが、教会はそれに対しなんらかの対応を迫られることになるでしょう。それに対しあなた方はどうでしょうか。その生涯をかけて塔を閉鎖したことによって起きる不利益に対応してくださるのですか?それともなんらかの対応策をすでに考えて用意してくださっているのでしょうか?」
「……それはっ」
「もしもそうでないのなら、あなた方は自分の行いに責任を取る気がないということだ。自分の要望は押し通して、自分たち以外の人が困っても知ったことじゃないと開き直る」
「そんなつもりマカ と はじゃ……」
「ではどういうおつもりですか」
 うめくマシューにミモザは問いを投げつけた。彼は言葉に詰まって黙り込む。それにミモザは首を振った。
「教会は、真っ先に非難の的になる立場です。責任逃れはできない。別に同じ立場になれと言うつもりはありませんが、同じ立場ではないということは自覚すべきだ。その上で人の評判や命を脅しに使って我を通そうというのなら、それは好きにしたらいい」
 そしてもう一度みんなを見回す。ミモザが見られているのは変わらないが、ジェーンとマシューの顔色は真っ青に染まっていた。
「けれどそれは悪業だと自覚して欲しい。今回の件は教会や国、そしてあなた方、それぞれの正義や信念のせめぎ合いなどという高尚なものではなく、ただの意クロムの効能地が悪い人達の欲望と悪意の応酬です。だから、まるで自分達だけは善人かのように振る舞うのはやめてもらいたい。自分の欲望のために悪いことをすると決めたなら、しらばっくれた態度を取るにせよ、開き直るにせよ、そこはちゃんと自分達は自分達の意思で悪いことに手を染めているのだと理解しておいていただかないと……」
 ミモザはそこでいったん言葉を切って首をかしげる。言おうかどうか迷った後で、ここまで言ってしまっては気遣うにしても手遅れか、とそのまま率直な意見を口にした。
「悪い事をしたという自覚もなく相手を攻撃するのはあまりにも卑怯だ。これが僕の考えです。えっと、ご満足いただけましたか?」
「貴重な意見をありがとう。……とても、参考になったわ」
 ジェーンは気丈にそう言った。けれどミモザが彼女のことを見てももう目線は合わない。その反応にミモザは嘆ゴーヤ息する。
「ええと、なんかすみません。決してあなた方を非難したいわけではないのです。いや非難したいのかな」
 ミモザは迷いながら言う。なんとも悩ましい。
「僕は娘を亡くした母の気持ちはわからないと言いましたが、目的のために悪どい手段を使いたいという気持ちはわかるんです。僕もあなた方と同じ『悪い人』ですから」
 今現在、姉から聖騎士の座を奪うためにゲームを参考にするというズルをしているミモザだ。そのことに関してはシンパシーすら感じる。そこで過去に言われたレオンハルトの言葉をミモザは思い出した。
「だから、ええと、そのぅ、もう少し『うまくやって』行きましょうよ。お互いに自分の我欲のために動いているんです。本音と建前をごっちゃにするからこんがらがる。僕たちは悪い人同士、もう少しわかりあえるはずです」
 ミモザは手を差し出した。ジェーンは戸惑ったように足を半歩引く。
「実は、僕とあなた方の利害は相反していないのです。僕の仕事はあなた方を守ること。だからいくらでもここに滞在していただいてかまいません。何時間でも何日でも何亜鉛 サプリ週間でも何ヶ月でも、僕が必ず守ります。……ですが、やはり家とは違いますから。物資は限られていますし襲われ続けるストレスはあるでしょう。ですからあなた方が心身を疲弊して、まともな判断ができなくなった頃にーー」
 ミモザは蕾が花開くように、綺麗に微笑んだ。
「保護させていただきますね」
 それはぞっとするような笑みだった。

 きっと、レオンハルトならうまいこと口八丁で丸め込むのだろう。姉なら優しく諭すかもしれない。
 しかし、それが出来ないミモザは。
 真綿で首を絞めるように、生かさず殺さずただ待つことにしたのだ。
 ーー彼らが根を上げるまで。
亜鉛 の サプリdha epaゴーヤ